2018 Fiscal Year Research-status Report
福島第1原発周辺自治体における除染と帰還の実態研究
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17K04164
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 克春 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (40636883)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 除染 / 土壌汚染 / リスクコミュニケーション / スーパーファンド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第1原発事故後の除染と帰還の在り方を考える際に、キーワードの一つとなりうるのが、リスクコミュニケーションである。それは換言すれば、生活空間における低線量の被ばくについての情報のやりとりと意思決定の手続きである。2018年度は、リスクコミュニケーションの先行事例研究として、アメリカの核施設にまつわるリスクコミュニケーション研究を行った。2018年5月にはアメリカの核兵器製造施設であるSavannah River Siteでの核物質処理にまつわるリスクコミュニケーション会議、および施設を見学した。併せてアメリカ環境保護庁に制度の運用についてヒアリングを行った。本事例は、CERCLA(通称:スーパーファンド法)の下で処置が行われており、本法におけるリスクコミュニケーション規定に従って、地元住民を関与させる形で、リスクコミュニケーションを行っている。特に重要なのは以下の2点である。第1に、人種的マイノリティや低所得層からの参加を制度的に保障している点である。第2に、地元住民が独自に専門家を雇う権限を持っており、またその財源が保障されている点である。本核施設はDoD(アメリカ国防総省)の施設であるため、除染などの実施主体は連邦政府である。同じスーパーファンドサイトであっても、連邦政府の場合と、民間工場の汚染の場合とでは、規定が異なることが明らかになった。それはリスクコミュニケーションの在り方にも影響を与えている。今後は、スパーファンド法の下での民間サイトにおけるリスクコミュニケーションの実態と比較研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカの除染研究に時間を要し、福島第1原発周辺自治体の調査が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはアメリカの土壌汚染の現場におけるリスクコミュニケーション調査を進める。特に本年度は、スーパーファンド法の下での民間サイトにおけるリスクコミュニケーションの実態をつかむ。そのうえで、核施設における除染との比較を行う。併せて、福島第1原発周辺の自治体研究も進める。
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Causes of Carryover |
アメリカの民間スーパーファンドにおけるリスクコミュニケーション研究を進める。また、福島第1原発周辺の自治体調査も併せて行う。
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