2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Actual Working Conditions and Organization of Household Workers and Care-workers in Korea
Project/Area Number |
17K04182
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
横田 伸子 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60274148)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 韓国のケアワーカー / 社会的脆弱階層 / 日本の「働き方改革」 / 文在寅政権の労働改革 / 日韓『働き方改革』フォーラム |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代半ば以降のグローバリゼーションの中で、労働の規制緩和政策が世界的に大々的に推進され、その結果、「労働の非正規化」が急速に進展した。それは、東アジアでも例外ではなく、法や制度の保護からも排除され、劣悪で不安定な雇用条件のもとに置かれたプレカリアスな非正規労働者が急増し、中でも女性が圧倒的多数を占める家事労働者や、介護・看病労働者といったケアワーカーで顕著である。本研究では、プレカリアスな性格が強い韓国の女性家事労働者と介護・看病労働者に焦点を当て、その労働実態や生活実態に加えて、原子化され分散的存在形態ゆえに困難とされる、彼女たちの新たな組織化の動きを追跡し研究した。加えて、韓国における文在寅政権の労働改革が、これらの女性ケアワーカーを含む、社会的脆弱階層の労働者権や労働基本権、社会権の改善にどれだけ寄与したかについても分析した。 そこで、本研究課題をさらに発展させた試みとして、2019年12月14日に、約150人余りの日本と韓国の市民、研究者、労働実務家などが一堂に会して、「日韓『働き方改革』フォーラム」を龍谷大学で開催した。ここでは、日本の安倍政権による「上からの」働き方改革と、韓国の文在寅政権による「下からの」社会的脆弱階層に寄り添う労働改革を比較対照し、それぞれの意義や限界が明らかにされた。さらに、この国際学術フォーラムの成果を社会に問い、今後の労働改革のあるべき方向を示すために書籍として出版されるべきであると考え、『「働き方改革」の達成と限界-日本と韓国の軌跡を見つめて』を発刊した。研究代表者は、編著者として、本書の出版に加わり、科研費の研究成果である論文「韓国における女性非正規労働者の組織化-韓国女性労働者会と全国女性労働組合、全国家庭管理士協会の連携を事例にー」も本書に所収された。
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