2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on assessment based on social model to improve mental competency evaluation in adult guardianship system
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17K04215
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 理恵子 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (90582263)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 成年後見制度 / 成年後見制度利用促進基本計画 / 社会モデル / 鑑定率 / 社会福祉士 / 生活情報 / 意思決定支援 / 地域連携ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
成年後見制度の開始手続きにおいて鑑定が省略される傾向にある。2016年度の鑑定実施率は9.2%であった。家事手続法は鑑定省略を例外としている。だが現状は、原則と例外が逆転していることを示している。この課題に着目し2017年度は法定後見において鑑定または成年後見用の診断書を依頼されたことのある医師10名を対象に現在の鑑定・診断書作成における課題に対しヒアリングを行う予定であった。 しかし、2017年度より「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」が一部改正されたため本研究が同研究に関する倫理指針に抵触するのではないかとの懸念から、予定していたヒアリングを一旦延期し倫理指針と研究内容の確認を行った。そのため2017年度中にヒアリングを実施するには至らなかった。研究内容を見直し学科内倫理審査委員とも検討を行った結果、本研究については上記研究に該当しないため、今後ヒアリングを行う場合は、日本社会福祉学会研究倫理指針をはじめとするガイドライン等に沿って実施する予定である。 一方、2017年度より最高裁判所を中心に成年後見用診断書について改訂が進められ、現在本人の生活情報を基にした基本シート(本人情報シート)が考案され、2019年度より変更される予定であることが明らかになった。そこで研究計画を一部変更し、医師へのヒアリングは新たな診断書の普及を待って行うこととした。2017年度は成年後見制度利用促進基本計画における地域連携ネットワークのあり方を検討し、とりわけ同計画の中でのべられている「福祉関係者が有している本人の置かれた家庭的・社会的状況に関する情報」の中身を精査した。また生活情報を提供する専門職のあり方、位置づけに対する課題を検討し、同計画における中核機関(実施主体、運営主体)の役割について実践を基に検証中である。2018年度以降もこの2点を中心に研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)本研究におけるヒアリングが「人を対象とする医学研究」に該当する可能性の検討 に伴うヒアリングの延期 (2)最高裁判所を主体とする「成年後見用診断書」の改訂の進行 (本人情報シートの追加:2019年度開始予定) (1)(2)の理由により2017年度の研究計画において実施予定であった法定後見の鑑定または成年後見用診断書を依頼されたことのある医師、精神科医師に対するヒアリングは保留とし2019年度以降に実施する予定となった。
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Strategy for Future Research Activity |
成年後見用診断書については現在改訂途中であることからその普及を待つこととし、2017年3月に策定された成年後見制度利用促進基本計画においてのべられている「本人の置かれた家庭的・社会的状況に関する情報」を把握するための方法論やそのような役割を担う専門職の位置づけを中心に研究を進める。 研究対象は同計画に示された「福祉関係者」に該当し本人の生活情報の把握に高い専門性を有する社会福祉士を中心とする専門職後見人である。 一方計画では司法職との連携も掲げられている。よって現在理事をしているプロボノ型NPO法人や法人後見委員として関与している社会福祉協議会等の団体を通じ、弁護士や司法書士にもヒアリングを行う。また「本人の状況等を的確に伝えることができるための方法」について先行研究であるドイツをはじめとする「ソーシャルレポート」について可能な限り検証を行い、日本における運用方法や位置づけに対する比較・参考対象とする。加えて成年後見制度利用開始のみならす利用後の福祉関係者による本人の状況に対するアセスメントの必要性についても検証を行い、そのようなアセスメントがもたらす本人への、あるいは制度運用の改善に向けた効果について考究していく。
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Causes of Carryover |
研究計画(ヒアリング)の変更により当初予定していた旅費及び謝金が次年度以降に繰り越すこととなった。
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