2019 Fiscal Year Research-status Report
参加型評価アプローチによる若者早期支援プログラムの開発に関する研究
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17K04238
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
藤島 薫 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90530121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 参加型評価 / 若者支援 / 対話 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、国内外の先行研究及び事例のまとめと分析を行った。なかでも昨年度に訪問調査を行ったコーネル大学付属研究機関であるBronfenbrenner Center for Translational ResearchのACT-for-Youthチームが数年にわたり実践してきた若者のホームレスに対して若者参加型評価を適用した事例は非常に有益なものであり、得られたデータや資料をまとめ分析を行い、その一部は学会誌に訪問報告として投稿することができた。 また、本研究を遂行するにあたって鍵となる若者との「対話」を実践するための手法として先行研究のレヴューから有効性が期待されたフィンランドで実践されている早期対話(Early Dialogues)と未来語り(Anticipation Dialogues)について、実践者であるトム・エリック・アンキル氏及びオリ・ライホ氏から直接、レクチャーを受け、研究適用についての意見交換を行うことができた。しかし、行政機関における適用事例についてユッカ・オリカ氏からのレクチャー及び介入を想定して計画を予定していた実習がコロナウィルスの影響で中止になっている。 その他、わが国で行われている行政及び民間における若者支援プログラムにはどのようなカテゴリーがあるのか実態把握を行った。行政では課題を有する子ども・若者とその家族支援、ニート、ひきこもり、不登校の子ども・若者支援のため地域若者サポートステーションやひきこもり地域支援センターの設置などを全国展開で実施している。民間ではNPO法人や一般社団法人などで同様の支援が行われているが、その多くは行政との連携で実施しているところが多いことがわかった。それらの若者支援プログラムがどのような評価アプローチに基づいて効果を検証しているのか、若者が評価に参加することの可能性についての把握を着手したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究および事例については概ね分析しまとめることができている、本研究の鍵でもある「対話」を促進するために期待される早期対話(Early Dialogues)と未来語り(Anticipation Dialogues)については、本研究への適用に関する意見交換を行うことはできたが、コロナウィルスの影響により、予定していた行政機関における適用事例についてユッカ・オリカ氏からのレクチャー及び介入を想定して予定していた実習が中止になり、現在のところ2020年度中の実施は難しい状況になっている。しかし、ある程度の知見は得られたので、それらをベースとして介入調査を進めていくことになる。 介入調査についてであるが、わが国おける若者支援プログラムの行政及び民間における実施状況については概ね把握することはできた。しかし、そのまとめに時間を要し、本年度に実施予定であった実施主体に対する評価に関するアンケート調査は実施することができず、現在、準備段階にある。若者支援プログラムがどのように実施され効果をどのように測定しているのか、また、参加型評価についての認知度および適用可能性について、それらの項目を中心に調査用紙を作成している段階である。 若者ワーキンググループを結成し、参加型評価アプローチの枠組みと評価項目を検討することができないでいる。若者プログラム実施機関への調査を通して、若者参加型評価を若者支援プログラムに適用することの研究協力を得られるよう準備を急ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、わが国における若者支援プログラムの行政及び民間における実施状況について把握したものをまとめる。若者支援プログラムの実施状況と評価アプローチ、参加型評価適用についてのアンケート調査を実施する。対象は全国の行政および民間における支援機関で、種別にカテゴリー化したうえで無作為抽出とする。同時に、若者支援プログラム実施関係者に対してフォーカス・グループ・インタビューの実施と個別の半構造化面接を行う。この量的調査と質的調査をもとに総合的に実態を分析する。 アンケート調査に協力を得られた事業所に対して、若者参加型評価アプローチの枠組みと評価項目を計画の段階から参加してくれる若者の募集を行い、若者ワーキンググループを結成する。若者ワーキンググループでは「対話」に基づいた活動を行い、そのプロセス自体の効果検証も行いながら、参加型評価介入の準備を行う。開発した若者参加型評価アプローチによる若者早期支援プログラムの介入調査を実施し、効果測定を行い、得られた結果を分析しまとめていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今年度実施予定であった、全国の若者支援プログラム実施機関へのアンケート調査及びグループ・フォーカス・インタビュー調査に必要としていた人件費(資料整理、データ入力、調査票作成、インタビュー謝礼等)および調査票作成の印刷費と通信費が発生しなかったためである。その他、調査協力者との打ち合わせのために必要となる交通費、会議費、宿泊費等も発生していないことによる。 次年度の使用計画は次の通りである。①若者支援プログラム実施機関へのアンケート調査(調査票の作成にかかる印刷費、通信費、作業謝礼)、②グループ・フォーカス・インタビュー調査にかかる費用(会場費、旅費、宿泊費、謝金)、③若者ワーキンググループの活動費用(会場費、旅費、宿泊費、謝金、事務用品費)、④研究結果のデータ入力作業(入力および分析、印刷費、プリンター用インク、データ記憶メモリ、統計ソフトバージョンアップ、入力・集計用パソコン)
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