2020 Fiscal Year Research-status Report
参加型評価アプローチによる若者早期支援プログラムの開発に関する研究
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17K04238
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
藤島 薫 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90530121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 若者早期支援 / 参加型評価 / 対話 / 解決志向 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、若者支援を取り巻く昨今の状況について、改めて情報収集を行った。また、参加型評価アプローチを若者主体のプログラムとして実施するための重要な鍵となる「対話」について、ダイアローグアプローチの創始者でもあるフィンランド講師らによるレクチャーおよびワークショップにおいて重要な知見を得ることができたので、それらを先行研究レヴューとしてまとめる作業を行った。新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた対面における調査を実施することはできなかったが、より、研究に必要となる理論的背景についての厚みを持たせることができた。特に、フィンランドの教育機関で行っている「対話」をベースとした取組は若者の声を中心に、学校、地域、行政とエコロジカルな視点にたったものであり、非常に有益な知見を得ることができた。 昨年度に実施したBronfenbrenner Center for Translational Researchでの訪問調査で得られたデータは昨年度分析し学会誌に掲載されたが、センターで作成された若者参加型評価マニュアル等を再度、精査し、わが国での適用についても検討することができた。 これらの結果をもとにして、遅れている調査についてのスケジュール調整および再検討を行った。現在、わが国で行われている若者支援(ひきこもり、不登校など)活動団体に対して、活動成果をどのように評価をしているのか、実際の効果測定についてどのように把握しているのか等のアンケート項目の検討、モデルケースを実施する場合の若者参加型評価マニュアルについても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究および事例については、昨年度に引き続き更に内容をブラッシュアップできているが、新型コロナウィルス感染が、当初、想定していたよりも長期化となったため、その体制下における調査方法の見直しをする時期が遅くなってしまったことにより、進捗状況は遅れる結果となった。 特に、対面で予定していた若者参加型アプローチの枠組みを作成するために、若者に対するインタビューから実際に実施するために必要な事項、配慮すべき事項などを把握した上で、実際のモデル的取組みを行って効果検証をする予定であったが、殆どの事業所からは感染状況が落ち着いてからとの回答で見送りとなった。その後、オンラインミーティング等の活用も検討したが、うまく調整ができず、この点についてストップしたままとなっている。 前年度の春に予定されていた、フィンランドで「対話」を中心とした若者を巻き込んだ取り組みを行っているユッカ・オリカ氏などのレクチャーおよび意見交換は秋以降に順次、始まったところであり、今年度は、それらをまとめることを中心に研究を進めた。 我が国で若者支援を行っている団体(若者と家族支援、ニート、ひきこもり等)に対するアンケート調査項目はほぼ出来ていたが、実際のモデル的取組みとして行う介入調査と連動させるために実施を見送りし、今年度は、作成したアンケート調査項目の精査などを行った。若者支援団体へのアンケート調査と若者を主体とした参加型評価アプローチの枠組みを完成し介入調査を同時に実施できるよう、研究を急ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、若者支援団体(民間、行政)に対して、若者支援状況および効果についての評価方法等についてアンケート調査を実施する。具体的には、全国の地域若者サポートステーション、引きこもり支援センター、そのほか、民間で行っている教育サポートや自立支援などの団体を対象とする。 その上で、若者参加型評価アプローチに関心を持ち協力をしてくれる団体を数か所選択し、若者に対するインタビューおよび話合いによって、参加型評価アプローチを実施する場合に必要となる若者視点からの配慮等を把握し、実際の介入調査を実施する。 若者支援団体に対するアンケート調査の結果は量的調査として記述統計、相関分析等の手法によりデータを分析しまとめる。若者に対するインタビューは質的調査としてテキスト分析あるいは構造化分析によって、データを分析しまとめる。若者視点を反映して作成した若者参加型評価アプローチの構造をもとに介入調査を行い、その効果(若者の変化)測定を行い分析しまとめる。これまで遅れている研究を取り戻すために、綿密なスケジュール調整を行って調査を実施していく。 これまでに情報収集しまとめてきた先行研究および先行事例と調査データの分析結果を論文としてまとめていくことを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度、使用額が生じた理由は、今年度実施予定であった、全国の若者支援団体へのアンケート調査及び、協力団体を利用している若者へのインタビュー調査に必要としていた人件費(資料整理、アンケート調査にかかる一連の作業、データ入力)、調査謝礼、アンケート調査票作成費用(印刷費、紙代、レイアウト費など)、通信費、交通費、宿泊費が発生しなかったことによる。 次年度の使用計画は次の通りである。①若者支援団体へのアンケート調査に必要となる費用(印刷費、レイアウト費、紙代、プリンター用インク代、データ記憶メモリ、作業人件費等)、②若者インタビュー及び介入調査に必要となる費用(会議費、会場費、旅費宿泊費、通信費、謝金、ビデオ機器、スクリーン、文具用品等)、③研究結果のデータ入力、分析等に必要となる費用(人件費、印刷費、データ記憶メモリ、プリンター用インク、統計ソフトバージョンアップ、入力・集計用パソコン、入力・集計用パソコン)
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