2018 Fiscal Year Research-status Report
The Research on the Training Program of Social Workers in Working with Deaf and Hard of Hearing People
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17K04282
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
原 順子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (60309359)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 聴覚障害ソーシャルワーク / 文化モデルアプローチ / ろう文化 / ろう者・難聴者等 / 養成プログラム / 多文化ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、聴覚障害ソーシャルワークの専門性を担保した聴覚障害ソーシャルワーカーの養成プログラムを開発・検証することを目的としている。研究2年目として以下の研究を行った。 1.ソーシャルワーカー養成に関する調査研究:前年度に引き続き、ソーシャルワーカーの養成教育について、アメリカとイギリスに焦点化し、主にソーシャルワーカーの養成教育を行っている大学のホームページから情報収集を行った。さらにソーシャルワーク・社会開発合同世界会議SWSD2018(開催地アイルランド)に出席し、同じく情報収集に努めた。 2.聴覚障害ソーシャルワーカー養成に関する調査研究:社会福祉士・精神保健福祉士の有資格者ならびに資格をもたない相談支援従事者にインタビュー調査とアンケート調査によるパイロット調査を実施した。 3.海外での調査:前述のSWSD2018への出席時に、アイルランドのダブリンにある聴覚障害者のコミュニティセンターと聴覚障害者への相談支援施設の2カ所を訪問し、スタッフにインタビューを行い、聴覚障害者を対象とする相談支援にかかわる情報収集を行った。特に現任ソーシャルワーカーのトレーニングについては、ソーシャルワーク実践での実際の事例からの学びを重視した研修を実施しているという有益な情報を得ることができた。 4.ソーシャルワーク理論の文献研究:国内の聴覚障害ソーシャルワークに関する先行研究は少ないため、海外の文献を入手し、聴覚障害者のろう文化を尊重したソーシャルワーク実践である文化モデルアプローチや、カルチュラル・コンピテンスの文献レビューを行った。また多文化ソーシャルワークでは聴覚障害者のみならず障害者一般をも対象にしていることが確認でき、カルチュラル・コンピテンスやAnti-Oppressive Social Workでの聴覚障害者の障害認識をレビューした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会福祉士の養成カリキュラムが平成30年度に改正される見込みであったが、予定が大幅に遅れていることが判明した。この遅れは本研究に直接影響はないものの、聴覚障害ソーシャルワーカーの養成にとって基盤となるジェネラルソーシャルワーカーの養成内容であるため、本研究にかかわる情報収集は進んでいるが、その成果を論文等での公表には至らなかった。また当初の研究計画では、アメリカにある聴覚障害者のための総合大学であるGallaudet大学を訪問し調査を行う予定であったが、研究代表者の本務の都合で訪問ができず延期になっているため研究がやや遅れている。次年度には論文を執筆し、当初の研究計画の進捗度に戻れるよう注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.聴覚障害ソーシャルワーカー養成に関する調査研究:聴覚障害者を対象に相談支援を行っている相談支援者へのインタビュー調査ならびに量的調査研究を今年度も引き続き行う。 2.世界ろう者会議での調査研究:世界ろう者会議がパリで開催される。この世界会議には世界中から当事者ならびに聴覚障害に関わる多様な職種の専門職や研究者が集うので、世界の聴覚障害者に関する情報を収集するには絶好の機会である。聴覚障害ソーシャルワーカー養成の教育に関わる情報収集を行うために参加する予定である。 3.養成プログラムの開発・検証:ろう文化を尊重する支援のあり方である文化モデルアプローチを修得するための養成プログラムを開発する。そして検証するためには日本聴覚障害ソーシャルワーカー協会の研究会やろうあ者相談員の研修会等で研修を実施し、受講者の意見を聴取して検証する。 4.研究成果の公表:研究成果を学会等で随時発表する。また論文を執筆し学会誌や大学紀要等に投稿する。
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Causes of Carryover |
アメリカにあるGallaudet大学を訪問予定であったが、研究代表者の本務の都合と訪問先との連絡調整が順調に進まず延期となったために、次年度使用額が生じた。次年度には訪問を実現し、聴覚障害ソーシャルワーカーの養成に携わっている教員から養成教育内容についての情報収集を行い、日本における聴覚障害ソーシャルワーカー養成プログラムの作成に注力したい。
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Research Products
(2 results)