2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing support system for end-of-life discussion with older adults with dementia
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17K04304
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
島田 千穂 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30383110)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エンドオブライフケア / アドバンスケアプランニング / 認知症ケア / 意思決定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドオブライフケアにおいては、将来の意思伝達機能の低下に備えて、自らの意思を事前に代理決定者や医療者に伝達するプロセス、すなわちアドバンスケアプランニングの必要性が強調されている。認知症の人に適した具体的な方法論が求められている。 今年度は、1)一般高齢者を対象としたカードゲームと対話で構成されるワークショップ前後の準備行動の変化と、意思伝達機能低下の将来認識の差異による影響について学会発表を行った。さらに、2)初期認知症及びMCIの人を対象とした将来展望に関するインタビューデータの分析を進め、学会発表を行った。3)また今後の研究の基礎的データとするため、自治体が主導するアドバンスケアプランニングの取り組み状況に関する調査も行った。 1)ワークショップに対する満足度は、認知機能低下がみられる人に満足度が低い可能性が考えられ、論理的思考に基づく方法論の限界が示された。認知機能低下がみられない参加者に限定して前後比較を行ったところ、前後で書面作成に有意な変化がみられ、思考や会話は、特に意思確認が困難になった時の準備への意識が低い人に上昇する可能性が示された。 2)将来認識に関するインタビューを逐語録にして分析したところ、将来の生活の希望についての語りのテーマとして、①将来は現在の先に自然とある、②将来の希望を語らない理由として現在の生活の満足を語る、③試行回避・保留、④子供に迷惑をかけたくない、⑤希望する場所や状態の明示の5つがあると考えられ、④と⑤は一般の高齢者のデータからも見出される結果であるが、①②③は認知症の人の特徴としてとらえられる可能性が考えられた。 3)ACPに取り組んでいる自治体がACPで目指すことのうち、最も多かったのは、エンドオブライフを考える機会を提供すること、次いで家族内で話し合いができることであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カードゲーム方式のツールを用いたワークショップによる支援は、一般高齢者のアドバンスケアプランニングに対する認識を高め、行動を促進して、事前の意思表明支援に生かす頃多できる可能性を示すことができた。認知症のある高齢者については、異なる方法論が必要と考えられ、まずは認知症高齢者の将来についての語り方を探索する研究を行い、知見を整理して投稿準備に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
認知症高齢者の意思表明支援として、長期的過程で漸次的に情報収集と生活支援に関わることのできるケアマネジャーによる支援方法を検討する。認知症高齢者のエンドオブライフケアにおいては、早期からの本人の意思の把握や家族との対話支援が不可欠であり、長期的に支援するケアマネジャーの関わりに可能性があると考える。我々の調査によれば、アドバンスケアプランニングを積極的に業務に取り入れているケアマネジャーは、現状では1割程度である。広くケアマネジャーが認知症の人のエンドオブライフを支える情報収集に取り組める方策について考えるための調査を、1年延長することによって行い、認知症の人の意思表明を支える方法論について検討する。
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Causes of Carryover |
計画段階で想定していた事前準備支援の方法論よりも、認知症高齢者に適すると考えられる方法論が見いだされ、これまでの計画の修正が必要となった。そのため、調査の対象と方法を変更して新たに調査を実施する必要があり、そのために研究期間を延長し、次年度に研究費を繰り越すこととした。 次年度は、全国のケアマネジャーを対象とした調査を行い、認知症の人を対象にしたアドバンスケアプランニングを実践可能にするケアマネジメントスキルを探索し、方法論を検討する。
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