2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the mechanism of upward and downward process
Project/Area Number |
17K04313
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長谷川 孝治 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (20341232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 広英 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (00598691)
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309)
古里 由香里 信州大学, 高等教育研究センター, 助教(特定雇用) (20793095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自尊心 / 安心さがし / SNS / Twitter / LINE |
Outline of Annual Research Achievements |
安心さがしとは,重要他者に本当に自分のことを大切に思ってくれているかを確認する行動である。低自尊心者の安心さがし行動は他者からの拒絶を引き起こし,高自尊心者の安心さがし行動は受容を引き寄せる。本研究の目的は,この両過程がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の他者に対しても同様に見られるかを検討することである。 本年度は,2つの調査を行い,以下のような分析結果を得た。1)Twitter利用者に対する調査の結果,自尊心が低く,フォロワーからの注意を求めるという動機づけが高いほど,ネガティブなツイートや安心さがしツイートをより頻繁に行っていた。 2)LINE利用者に対する調査を行い,ネガティブ投稿をした際に,他者からどのような反応があれば,どのような気分になるかを検討した。その結果,a)日頃からネガティブな投稿をする人ほど,共感や否定をされた際に不安に感じやすく,既読スルーをされると逆に安心すること,b)自尊心が低いほど,共感や否定反応受領時に不安になること,c)注目希求動機が高いほど,いずれの反応時も不安になること,d)同情希求動機が高いほど,共感や否定を得ると安心し,既読スルーされると安心が低い,e)自尊心が低く,注目希求動機が高いほど,共感受領時に安心が低いことが示された。 3)LINE利用者に対する調査の結果,自尊心が低く,友だちとの関係をよくしたいという関係希求動機が高いほど,ポジティブな安心さがし投稿を行うことが示された。ただし,それに対応する形で他者が賞賛・共感的な返信をしても,ポジティブな気分にはならないことを示唆する結果も得られた。 以上の結果から,SNS上でのネガティブ投稿に対する共感的な反応が,必ずしも安心につながらず,不安を高めることが示唆された。今後,TwitterとLINEでの動機の違いについて,詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,2つの調査を行い,TwitterとLINEという異なる種類のSNS上の安心さがし的投稿の生起に関して明らかにする知見を得ることができ,Twitter上のネットワークを解析するための基礎データを採ることができた。また,このうちの基礎的な知見を,今年度既に国内および国際学会において発表した。ただし,予定していた実験的な研究を行うことができなかった。これは,研究代表者の研究機関の所属変更があり,それに伴い,実験を遂行する期間が十分に確保できなかったためである。 これらの理由により,今年度の研究は,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,TwitterとLINEを両方日常的に利用している人々に対する調査を再度実施し,両者における安心さがしの差異を明らかにすることを目指す。 また,その後,これまでの調査結果を基にして,自尊心脅威状況における安心さがし行動の生起過程を検討するための実験室実験を行い,SNS上の上方・下方螺旋過程の詳細を検討する。 今年度末の研究完了を目指しつつ,必要であれば,研究期間延長の申請をすることも視野に入れて,研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の研究機関の所属機関の変更があり,それに伴い,実験研究の実施ができなかったために,次年度使用額が生じた。これについては,今年度,実験を実施し,実験参加者謝金や実験補助等に当てる予定である。
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