2019 Fiscal Year Research-status Report
爪切りケアをめぐる乳幼児期と高齢期の自他関係に関する縦断・横断的研究
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17K04340
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
松本 光太郎 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60420361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 爪切り / 幼児 / 母親 / 父親 / 日常行為 / 痛み / 身体 / 言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)調査開始時には0歳児だった4人の子どもたちが今は3~4歳になった。3歳になるまで月に1回、母親から前月からの変化を報告してもらい、その報告の詳細についてやりとりすることを通して、乳幼児の爪切りや日常行動について縦断的に把握してきた。3歳以降は、2か月に1回の報告へと期間を空けるようになった。子どもが爪切りを嫌がることがなくなり、短いスパンの変化を追いかける必要がなくなったことや、下の兄弟が生まれて、親の負担を減らす必要に迫られたこと、それでも子どもが一人で爪が切れるようになるまでの変化を追いかけるため、調査の継続が必要であること、以上の理由から3歳以降は2か月に1回の調査へと変更することになった。2020年3月の日本発達心理学会大会で研究成果を一部報告する予定であったが、コロナウィルス禍で中止となった。現在は、3歳までの経過について論文の投稿を準備している。 (2)高齢者の爪切りは、変化が見えにくいため、縦断研究ではなく横断研究を行うことになった。現在までに少人数の観察を行ったが、本格的に調査を行う予定であった2・3月にコロナウィルス禍で、地域のセンターや施設が閉じてしまった。今後、センターや施設が再開されたとしても、ウィルスを調査者が持ち込んでしまう可能性があるため、調査の実施は難しいことが予想される。対応策はないが、少しずつでも調査を進めていきたい。 (3)当研究の研究方法に関連して、『質的心理学研究』誌上にて、特集「質的研究法の拡張」(2020年10月締切、2022年3月発刊)の編者を担っている。それに先立ち、昨年度9月に日本質的心理学会大会にて研究協力者であるMatthias Mehl氏、そして小嶋秀樹氏を招いてシンポジウムを開催した。両氏には特集号に寄稿していただく予定である。また、当研究の研究方法についても論文を投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳幼児の爪切りに関する縦断的研究は現在まで順調に進んでいる。論文の投稿を準備している。また本研究で実施している研究方法について学会誌で組む特集に投稿予定である。 遅れているのは、高齢者を対象とした爪切りの横断研究である。縦断研究から横断研究に切り替えて、本格的に行う予定であった調査が実施できなかった。さらに、対人的な接触が今後も望ましくないと考えられる高齢者を対象に調査を進めていくことが難しい状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)0~3歳の爪切りについて、行ってきた縦断研究の研究成果の報告を現在投稿の準備を進めている論文で行う。また、4人の子どもたちの調査は継続する。 (2)本研究の方法について、『質的心理学研究』の特集「質的研究法の拡張」に論文を投稿する。本研究の方法に関連する研究法についても、招待論文として寄稿してもらう。 (3)横断研究に切り替えた高齢者を対象にした爪切りの調査については、高齢者に新型コロナウィルスを感染させてしまう可能性があるため、状況を見ながら実施を判断したい。
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Causes of Carryover |
今年度は、2~3月に訪問予定であった爪切りの観察をお願いしている家庭への訪問や、高齢者が利用している地域センターや施設などの訪問が軒並み実施できなかった。それらの予算が未使用で次年度に繰り越されている。次年度も引き続き実施するために予算を計上している。国内・国際学会での発表について、どの程度可能であるのか現在は見通せないが、可能であれば予定通り研究報告を行うために旅費を計上している。
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Research Products
(1 results)