2019 Fiscal Year Research-status Report
子が思春期にあるときの子及び親の発達性認知・相互交渉が子及び親の発達に与える影響
Project/Area Number |
17K04354
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 誠一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60186939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松河 理子 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (00622028)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 思春期 / 更年期 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.昨年度に引き続き,思春期と母親の更年期の交差性の心理的影響について,とくに母親の更年期の影響を検討するために,3つの閉経段階(閉経前・閉経中・閉経後)を設定して,更年期周辺年齢の母親とその娘を対象に調査を行ったところ,母親の閉経段階と母親が認知する娘との心理的離乳程度,娘が認知する母親との心理的離乳程度に有意な関連は見られなかったが,母親の年齢段階(40代後半・50代前半・50代後半)と娘が認知する母親との心理的離乳程度に有意な関連が見られ,40代後半,50代前半の母親をもつ娘は母親との心理的離乳程度をより高く認知していた。母親の年齢段階では,50歳後半群ではすべてが閉経経験者であることから,40歳代,50歳代を閉経未経験者とみなすことができ,閉経未経験者の方がまだ娘との葛藤的やりとりがある中で母親との心理的離乳程度をむしろ高く認知し,閉経経験者の方は娘の葛藤的やりとりから離れているために母親との心理的離乳程度が低いと認知しているものと考えられた。 2.他方,心理的離乳に関連があると言われている子どもの離家の影響について,親の養育態度認知,内的作業モデル,社会的適応のパスを検討したところ,自宅同居青年においては親の養育態度を拒否的であると認知すると他者に対して回避的となり,自己閉鎖傾向を強める有意なパスが示されたが,親の養育態度を過保護であると認知する場合は有意なパスはしめされなかった。他方,自宅外居住青年の場合は,親の養育態度を拒否的であるとする認知から他者回避,自己閉鎖傾向への有意なパスだけでなく,親の養育態度を過保護であるとする認知から,自己への不安が高まり,傷つけられることの回避傾向が強まる有意なパスが示された。このことから,離家が必ずしも親の養育態度に対するネガティブな評価に対して防御的ではないことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実父が2019年8月の脳梗塞で倒れ,2020年1月に逝去した関係で,この間の介護,逝去後の処理等のため,勤務地の神戸と実父の入院先の東京との往復に,かなりの時間を要したことにより,2019年に予定していた調査のうち最終調査が実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記理由が解消されたので、計画が止まっている箇所から再開し、研究全体の遂行を目指す。具体的には、ここまでの研究成果の確認とともに残された最終調査の計画策定を行い、調査実施、データ分析と結果の集約、これまでの結果とあわせて全体的検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
実父が2019年8月の脳梗塞で倒れ,2020年1月に逝去した関係で,この間の介護,逝去後の処理等のため,勤務地の神戸と実父の入院先の東京との往復に,かなりの時間を要したことにより,2019年に予定していた調査のうち最終調査が実施できなかったため。上記理由が解消されたので、計画が止まっている箇所から再開し、生じた次年度使用額を用いて最終調査の実施などを行う。
|