2018 Fiscal Year Research-status Report
学習意欲が低い学生の自律的学習態度を高める事前・事後学習授業プロセスモデルの構築
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17K04382
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
松島 るみ 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (40351291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 仁美 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (10314345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学習方略 / 事前学習 / 事後学習 / 大学生 / 講義型授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に実施した研究実績について,主に3つの点についてまとめる。 1.授業介入実験(2017年度からの継続):2017年度には介入実験において,授業前に問いを提示したり,予習活動を課すことにより学習方略が促進され,授業に対する興味や理解度が高まる傾向が示された。とりわけ,知的好奇心が低い群において,授業前の問い提示と予習活動双方を取り入れることにより学習方略や授業への興味が促進する傾向が明らかになった。2018年度は,事前学習のみならず事後学習(復習)を取り入れることの効果について,学習者の個人差変数も加えて検討を行った。 具体的には,2018年度に社会調査系の講義を受講した44名を対象とした。既に予習や授業前の問いの提示が有効であることが示されていることから,ベースライン期ではこの両者を授業内で行った。介入期では,ベースライン期の内容に加えて,事後学習として復習課題を提示した。この結果,授業前の問い提示や予習の事前学習に加えて,授業後に復習課題を行うこと,またこれらのフィードバックを行うことにより,授業内での学習方略が促進されたり,授業への興味・関心が高まる可能性が示唆された。この研究については,2019年度中に学会発表を行う予定である。 2.学習有効性認知尺度の成果に関する成果発表:2017年度に,各授業プロセスの学習方略遂行に影響を及ぼすと考えられる「学習有効性認知」を測定する尺度の開発を行い,信頼性・妥当性の確認を行ったが,2018年度はこれらの成果について学会発表および学術論文として発表した。 3.2019年度に実施する研究(事後学習)の計画立案:2018年度の介入実験では,事後学習(復習)にも焦点を当て,事前・事後学習による学習成果への効果を検討していたが,2019年度は事後学習の一つとして,テスト効果に焦点を当てた介入実験を行うため,その計画立案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は2017年度までの研究成果を発表し,事後学習(復習)を中心に新たな介入実験を実施することも出来た。一方,2019年度前期に予定しているインタビュー調査の研究計画が出来ていないことや,2018年度末に行う予定であった,効果的な事前・事後学習の「仮説授業プロセスモデル」の構築が計画より遅れている。このことから,実験の継続とともに,当初予定していた前述の研究内容が遂行出来るよう努めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の介入実験では,事後学習(復習)にも焦点を当てて事前・事後学習による学習成果への効果を検討していたが,2019年度は事後学習の一つとして,テスト効果に焦点を当てた介入実験を行う。最終テストにおける学習内容の保持の状況等、テスト効果の「直接的効果」を確認するとともに、授業中の学習方略の変化等「間接的効果」についても検証する。さらにテスト効果はもともとの学生の授業観や達成動機によっても差異がみられるのかどうかを併せて検討する。主に検証するのは以下の点である。 ①ベースライン期の小テストと介入期の小テストを比較し、毎授業後実施するクイズを取りいれることにより小テストの得点に差異がみられるかを検討する。②介入期の小テストの得点は、期末テストの得点を予測するかを検討する。③クイズを取り入れることによる授業中の学習方略に差異がみられるかを検討する。④①~③の結果について、学習者の個人特性(授業観・達成動機)によって差異がみられるかを検討する。 その他,当初の計画にあった半構造化面接を行う他,本研究の最終目標である「授業プロセスモデル」について,これまで遂行してきた研究結果をもとに検討する。
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Causes of Carryover |
2018年度後期に予定していた授業介入実験が,調査対象者不足のため十分に遂行出来なかったため,計上していたデータ入力費用が残額が発生した。また,海外出張が2名から1名になったことも残額が多くなった要因である。 2019年度は最終年度であることから,予定していた研究を遂行する他,成果発表も積極的に行っていく予定であり,予算の適切な使用に努めたい。
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