2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04429
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小川 成 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90571688)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / 治療効果予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、慢性疼痛の認知行動療法施行後の疼痛の重症度の改善について、治療前における予測因子について検討するものである。予測因子としては、①人格特性に関する認知行動療法施行後の疼痛症状変化の予測因子、②認知的な側面に関する認知行動療法施行後の疼痛症状変化の予測因子、③抑うつ症状や身体化傾向に関する認知行動療法施行後の疼痛症状変化の予測因子について検討することとしている。 本年度は、前年度に引き続き、慢性疼痛患者に対する認知行動療法の実施とデータ取得に取り組んだ。プログラムは①慢性疼痛に対する心理教育②呼吸コントロール法③疼痛に関する認知を是正するための認知再構成法④行動活性化療法⑤アサーションからなるが、実施に際しての問題点を抽出したうえで見直しを図った。 治療者の育成としては、大学院人間文化研究科、医学部、人文社会学部心理教育学科等での講義を行った。さらに、国立精神・神経医療研究センターおよび関西大学等の協力を得て、精神科医および臨床心理士、公認心理師等を対象とした慢性疼痛に対する認知行動療法のワークショップも行った。 研究面では、プログラムの洗練および治療効果の向上を図るため、既存の認知行動療法のデータを解析し治療効果予測因子や治療効果媒介因子を検出した。さらに、慢性疼痛に対する心理的介入についての論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度と同じく患者のリクルートが低いペースであった。 理由としては、本学附属病院いたみセンターでリクルートする際、認知行動療法等精神療法的介入が可能な患者は年間数名程度しか存在せず、さらに他の慢性疼痛に対する心理的介入の臨床研究とも競合したため、本研究でのケースの確保がこれまで以上に困難となったことがあげられる。 また、研究代表者が附属病院での業務を離れ新たに心理相談室でのリクルートも開始したが、ここでも十分なケースを集めることができなかった。 さらに、いたみセンター専任の臨床心理士を募集したが対象者がおらず、介入を担当できる人員が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
患者のリクルートに関しては、いたみセンター以外の診療科への協力を依頼するとともに、関連病院へも患者紹介の依頼を継続していく予定である。 また、いたみセンター専任の臨床心理士もさらに募集を継続しており、初診枠の問題や認知行動療法の施行者の問題が解消することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、患者のリクルート数が低く、さらに認知行動療法の施行者の確保もできなかったため、人件費等の介入の施行等に伴う支出が低く抑制されたことによると考えられる。 これについては、前述のように患者のリクルート数を増やすとともに認知行動療法の施行者を確保するための方策を立てている。
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