2019 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患患者のキャリア発達モデルと就労支援ツールの開発
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17K04460
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 教授 (50408952)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / 社会的自立 / キャリア発達 / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療技術の発展により先天性心疾患患者の多くが成人期に達することが可能となり、小児期から成人期へのスムーズな移行が課題となっている。本研究は、このような状況を背景に、成人期に達した先天性心疾患患者の社会的自立に関して、患者のキャリア発達モデルの提示、就労支援ツールの開発を目的に展開している。本年は昨年度面接調査を実施した対象者の中から2名に2回目を実施した。面接ではこれまでの生育歴を追いながら、成人になる過程を周囲(親、友人、教師)との関係という視点で話を聴いた。その中で、周囲との関係から捉えた患者の就労に関する促進/妨害要因について前回より詳細に捉えることができた。来年度はこの結果をまとめる予定である。 また本年度は質問紙調査についても実施している。調査は患者(18歳以上)の就業状況を含めた生活状況、医療関係者との関係、親や友人との関係、本人の心理的自立度やQOL(生活の質)に関する内容で、最終的には就業や心理的自立に関わる要因を探ることを目的としている。面接調査とは異なり、量的なデータから患者一般の傾向を捉えることが期待できる。現在すでに230名ほどデータを得ている。この調査は日本以外の国も参加している国際調査であり、最終的には日本の状況を他国と比較することが可能となる。比較対象を得ることによって就業のみならず、日本の患者の様相を的確に捉え、今後の研究、および具体的な支援ツール作成につなげていきたい。 日本の患者の就業状況については国際的に発信するため、昨年度発刊した論文を英文化して二次出版(secondary publication)として刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
面接調査は順調に進んでいる。しかし本来はもう少し早く結果をまとめて全体の傾向を捉える予定だったが、質問紙調査の準備に手間取り思うように進めることができなかった。質問紙調査は現在実施中であり、最終的には面接調査を合わせることにより、質的と量的データの双方から検討することが可能となる。研究の内容自体は、内容の濃いものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実施済みの面接調査の結果を早急にまとめ、患者の発達過程の特徴(就業との関連を含めて)を提示する(この結果については論文として投稿する)。また質問紙調査(国際調査)の結果については量的なデータ分析を行い、より客観的な視点から日本の患者の特徴を捉えていく。最終的にはこれらの調査結果より、キャリア発達モデルの提示し、就労支援ツールの開発をしていく。
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Causes of Carryover |
3月にイタリアで開催される国際学会にて参加、発表をする予定だったが、新型コロナウィルスのために取りやめとなった。また、日本発達心理学会にも参加予定だったが同様にとりやめとなった。それらの経費が次年度使用額として計上された。また、2月から質問紙調査を実施しているが、まだそれが完了しておらず、この経費全体が本年度の使用とならずに次年度使用額として計上された。
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[Journal Article] Perceived health mediates effects of physical activity on quality of life in patients with a Fontan circulation2019
Author(s)
Holbein, C. E., Veldtman, G. R., Moons, P., Kovacs, AH., Luyckx, K., et al.
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Journal Title
American Journal of Cardiology
Volume: 124
Pages: 144-150
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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