2018 Fiscal Year Research-status Report
時間と質感の接点-質感によって符号化される多感覚情報の時間ずれについての検討-
Project/Area Number |
17K04514
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
藤崎 和香 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20509509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多感覚知覚 / 時間知覚 / 質感知覚 / マルチモダリティ / 映像と音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
質感は空間や時間とともに感覚モダリティをまたぐように存在する。感覚モダリティをまたぐように存在する情報は異なる感覚間をつなぐ重要な手がかりとなる だけでなく、感覚統合の結果としてまた新たな知覚体験を生起させる。本研究はこれまで個別に研究されてきた時間知覚と質感知覚の関係性を多感覚統合の観点 から明らかにすることを目的とする。具体的には感覚モダリティをまたがった情報間の時間ずれが、直接同時性や同期性を訊くと識別できない場合であっても、 質感知覚として符号化されると識別できる場合について、その符号化のメカニズムや情報処理の階層性を解明することを目指す。今年度は、ダンスの映像とスピーチの映像を使った予備調査を行った。その結果、ダンスの映像については、映像と音声にずれがあることに被験者が気付いていない場合であっても、例えば「(ダンスが)下手である」「ノリが違う」というように、何らかの違和感を検知できていることが示唆された。またスピーチについては、映像と音声がずれたことに明示的に気づかない場合であっても、話者への信頼感や説得力といった項目の評価が下がる場合があることがあることが示された。これらはいずれも予備実験であるため、今後、本格的な実験実施にむけて準備を進めていきたい。 そのほかの成果としては、ジャーナル論文2本の掲載が決定した(一本は掲載済、もう一本は印刷中)。また視覚学会の実行委員や座長、多感覚研究会の世話人やセッションの企画、司会などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究所から大学に異動して1年目であり、実験室の整備等が遅れており、本格的な実験実施には至らなかった。一方で、予備調査については、卒論生やゼミ生の力を借りて、当初の予定を超えて進捗している。トータルとしてはおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室の整備が急務であるが、大学が2021年に移転するため、現状で大幅な整備を行うことができない。現在の環境でできることを着実に地道に行っていきつつ、別の方法で代替できることは代替するなど(例えば一部を実験室実験ではなく質問紙調査にするなど)、柔軟に対応していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究所から大学へ移動した初年度であったため、実験室などの環境整備が十分にできず、本格的な実験に着手できなかった。その代わりに予備実験を多く行った。そのため使用計画に変更が生じた。今後は、現在の環境でできることを地道に着実に進めるとともに、計画変更が必要な部分については柔軟に対処しながら計画を進めていく予定である。
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