2020 Fiscal Year Annual Research Report
Practical Support and Phenomenological Research for Fostering Human Relationships in Classes utilizing "Inquiry Lessons through Dialogue"
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17K04524
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
田端 健人 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (50344742)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 探究の対話 / 子どもの哲学 / インクルシブ / 討議教育 / 非認知スキル / 生活世界 / 特別活動 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)実践支援:主に白石市(1校)、仙台市(1校)、福島県岩瀬郡(1校)の小学校にて、「対話による探究の授業」の支援を、継続的に行なった。これらの学校では、対話による探究の授業を通して、学級の人間関係の改善が見られた。例えば、愛着障害や自閉傾向の子どもが対話に参加できるようになったり、いわゆる「スクールカースト」的な関係が緩和するなどの教育効果が観察された。2020年2月以降は新型コロナ感染症のため、予定していた国際交流や学級内での話し合い活動が非常に困難になったため、ZoomやMeetなどテレビ会議システムでの対話に、これまでのノウハウや成果を転用することを試みた。 対話による探究の授業の手法としては、子どもの哲学ハワイ・みやぎバージョン、通称「p4c」を主に活用したが、それを特別活動の伝統的な話し合いの仕方と融合し、「討議教育」という手法を開発・実践した。 2)理論研究:「子どもの哲学p4c」「討議教育」「討議デモクラシー」の共通原理を、ハーバーマスの「理念的発話状況」という概念を中心に哲学的・社会学的に解明した。この概念について、長年解決されてこなかったハーバーマス=ルーマン論争を、現象学の視点から根本的に解決解消する論理を発見した。世界に広がる「子どもの哲学」に関する実践と理論研究の、最新の動向を翻訳・紹介した。 3)対話を評価する新システムの開発:対話を数値によって評価するために、形態素解析とその数値の読み取り方法を開発した。英語での対話については、ソフトウェア「R」をもちいた語彙多様性とリーダビリティの算出、日本語での対話については、jReadabilityという一般公開されているWebシステムを活用し、延べ形態素数や異語数、語彙レベル構成などを算出する手法を開発した。 4)成果の発信:研究成果を、学会発表、論文、ブログ、講演会、翻訳書等で積極的に発信した。
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