2018 Fiscal Year Research-status Report
Action Research on Drama-Based Curriculum and the Assessment
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17K04532
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡辺 貴裕 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (50410444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドラマ教育 / 演劇教育 / 演劇的手法 / 想像力 / 身体性 / 校内研修 / 校内研究 / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
特に3つの点で進展があった。 1つめは、演劇的手法を活用した授業改革に学校全体で取り組む、京都府の八幡市立美濃山小学校との共同研究に関してである。本格的な共同研究が2年目に入り、校内でも、研究主任に頼りきりになるのではなく、各学年部の教師らが自律的に授業の考案・試行・検討を行っていく体制が確立された。身体・空間・想像力の重視、表現と理解の相互循環といった同じコンセプトで貫いて、授業、校内研修、公開研究会という三層にわたって同時的に改革を進めていく取り組みは、全国的にも例を見ないもので、演劇的手法の活用の点からも校内研究の改革の点からも貴重なモデルを生み出しつつある。そうした成果をより広く発信するために現在準備を進めており、すでに教師へのインタビューなどを終えている。 2つめは、上記の取り組みに関して、ニュージーランドで7月に開かれた国際演劇教育学会(IDIERI)において発表を行い、この取り組みの意義についての示唆を得たことである。発表において、演劇的手法が授業での教師―生徒関係を変えるだけでなく、同じ発想を校内研修に活かすことで教師間の関係も変わることを指摘したことが、特に反響を呼んだ。 3つめは、3月に、心理学者のホルツマンらが運営するニューヨークのEast Side Instituteの4日間のワークショップに参加し、関係者の話を聞いたりディスカッションを行ったりすることで、パフォーマンス心理学やソーシャルセラピーについての知見を得たことである。ドラマ教育とこれらは親近性があるにもかかわらず、これまで両者が交わることは国内的にも国際的にもほぼなかったため、両者をまたいでの考察は貴重なものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
美濃山小学校での取り組みは、実践的には当初の想定以上の進展を見せており、そこでの成果へのさらなる分析、成果の発信・共有が求められる段階に入っている。一方、イギリスにおけるドラマ教育の蓄積の検討については、今年度、大きな進展は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
美濃山小学校での取り組みをもとに、演劇的手法を核とした授業改革・学校改革について、背景となる理論や具体例を書籍にまとめ、公刊する。 また、すでに申し出があった、演劇的手法の活用に全校で取り組んでいこうとしている他の公立小学校とも連携し、美濃山小学校での取り組みを元に生み出されたモデルの拡張を図る。
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