2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04560
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
若木 常佳 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90454579)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 省察を促進・阻害する要因 / 省察促進のための学習イメージ / 省察発生の場面の発見 / 省察とレジリエンスの関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究内容は次の①~⑤である。 ①促進と阻害の要因の仮説的内容を院生の反応と促進の要素を保有する修了生からのヒアリングで検討。②省察の促進と環境についての追究,③省察とレジリエンスの関係についての考察。④研究内容①と②に基づく省察への志向性の形成を促す学習イメージの作成。⑤省察促進をサポートする教師教育者の追究。研究内容の③~⑤は,本研究課題での研究成果の教師の養成課程に反映を意図した次段階の研究内容の準備となる。 研究成果を次に述べる。 ①促進要因5点と阻害要因8点を導出。②省察を行う院生個々に対する環境整備の具体を把握。③リフレクションが「獲得的レジリエンス要因」(平野2018:62)の強化に有益なことの把握。④養成機関でのリフレクションの学習の充実が違和感への感度を高め自身によるリフレクションの開始につながることを発見し学習イメージを図示。⑤教師教育者が視野(学問領域,実践知,自己の特性)に自覚的になることの必要性を指摘。 研究成果の発表は次の通りである。①は学会発表(2018/11/17)と若木「教師のリフレクション力を促進・阻害する要因について」,および,坂井・若木「教職大学院の教育内容についての検討-日本の学校教育に関する教職大学院教員と院生の意識の考察-」に記載。また,省察が発生する場面とその具体を若木「オランダでの研修報告-リフレクションの促進との関連に着目して-」に記載。②は「リフレクションへの志向性の形成を促す学習内容に対する提案-教職大学院での実践の具体に基づいて-」として投稿中。③は若木(2019)「リフレクションとレジリエンスの関連についての考察-今後の教師教育の手がかりを求めて-」に記載,④は,「オランダでの研修報告-リフレクションの促進との関連に着目して-」に記載。⑤は,学会発表(2019/03/10)実施。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題である省察を促進・阻害する要因については,捉えることができた。また,院生のレポート分析から,省察発生の場面を見いだすことができた。ゆえに,本研究の主目的である省察を促進・阻害する要因の導出については,ほぼ達成することができた。また,省察の促進に向かうための学習イメージも構築した。 今後は,この研究成果を用いて省察への志向性の形成を促す学習内容やカリキュラムの構築に向かう必要があり,その研究の準備をする
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度であり,次の2点を行う。 1点目は,本研究の課題である省察を促進・阻害する要因についてのさらなる探求である。新たなものがあれば,これまでの研究成果に加え,学会や論文で発表する。 2点目は,本研究の成果を用いた新たな研究課題に取り組む準備を整えることである。本研究の成果に基づく新たな研究課題は,省察への志向性の形成を促す学習内容やカリキュラムの構築である。この課題については,省察の指導を実際に行なっている複数の教師の養成機関で取り組むこと,また,実習先の確保から教育委員会の協働が不可欠である。ゆえに本年度はそのための準備として次の4点に取り組む。①複数の教師の養成機関との共同体制を整えること。②教師の養成機関との連携を図り,学部と教職大学院のそれぞれにおける省察についての学習状況や学習の成果・課題を整理すること。③省察についての学習状況について国際的視点から整理すること。④省察を深めるにおいては,実習での教師教育者の関わりが重要であることから,実習の体制を整えるために,教育委員会(宗像市)との共同研究体制を立ち上げること。これらのうち,①②③については,本年度の教師教育学会で発表することを目途にして研究を進める。④については,現存の協力関係に基づき,①②③から導出したものの試行やモデルプランを共同開発できるように環境を整備する。
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