2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04560
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
若木 常佳 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90454579)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 省察を促進・阻害する要因 / 省察促進のための学習イメージ / 教師教育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により,リフレクションを促進・阻害する要因については導出した。今年度は,その研究成果を踏まえ,次の2つを実施した。①教師の自己探究を支えるリフレクションへの志向性形成を意図した学習イメージの作成②教師教育者がモデリングの機能を持つ(ミーケ2017:50)ことから,教師教育者自身のリフレクションの実施状況の考察。 ①については,作成後,具体を追究するため,次の3点を計画した。A 学部と教職大学院の合同授業の試行,B 教師教育における「観」の転換を追究している信州大学の教育内容の聞き取り調査,C 理論と実践の往還の間に自己探究を位置付けているオランダのMarnix Academyへの継続調査である。Aは学内での調整を踏まえ1/10に,Bは2/21に実施した。Cは新型コロナウイルスの影響で来年度に延期した。ABからリフレクションの学習は,早期にシステマティックに行うことが必要であることを再確認したが,同時に教師教育者の意識や言動が学生・院生に多大な影響を与えることもわかった。 ②については,FD活動を活用して実施し,自己の語り易さへの考慮と自己にベクトルを向ける契機となる発言が自己探究をさらに深化させること,「所属する機関」が求めるものを認識した上で,自らの職歴で得た経験的内容を指導に反映させ,「自分なりの教師教育教授法を開発する」専門性を持っているものの,「研究者」としての専門性には課題があることがわかった。 上記の研究成果発表である。①は,学会発表(日本教師教育学会)とともに,「リフレクションへの志向性の形成を促す学習内容に対する提案-教職大学院での実践の具体に基づいて-」とし『教育学研究ジャーナル』第25号に投稿し採用された。②は,「教師教育者による自己探究の実際事例」として論文にまとめ,現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究課題はほぼ明らかになった。そのため,本研究の内容を踏まえた次の課題として,リフレクションを習慣化するための学習とはどうあるべきかについて考えることができるようになり,手がかりとしてリフレクションへの志向性形成を意図した学習イメージも作成した。 この課題追究のためには,院生の変容過程の考察,学習によってどのように本人の意識が変容するかということについてのデータの収集も必要である。これについては次年度からの科研の課題として追究する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,教師個々が自己探究に基づくリフレクションの意義を認識し,リフレクションを習慣化するためにはどのように学んでいけばよいのか,教師養成機関での学習内容,実習内容や実習指導のあり方を追究する。 この今後の研究課題については,「自己探究に基づくリフレクションへの志向性の形成を促すカリキュラムの開発」として,2020年度科学研究費助成事業 学術研究助成基金助成金の交付内定を受けた。したがって,2020-2022の3年間で,リフレクションの志向性形成に寄与する学習内容や実習内容,実習指導のあり方を学生や院生から得た学びの履歴を活用しながら追究し,自己探究に基づくリフレクションへの志向性形成を促すカリキュラムを開発し提案する。この追究に際しては,実習についての指導も重要であることから,市教委との連携を保ちながら協働的に研究を進め,成果を養成機関と学校現場での教師教育に還元する。
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Causes of Carryover |
理由:オランダの教師教育でのリフレクションの現場を学ぶために,2020年3月にオランダユトレヒト のMarnix academyを訪問する予定であったが,新型コロナウイルスの蔓延のために,訪問を延期したことによる。
使用計画:新型コロナウイルスの収束状況によるが,現在は,2020年度中に訪問して教師教育でのリフレクションの現場を学ぶ予定であり,その旅費と謝金に用いる予定である。ただし,新型コロナウイルスの蔓延状況が収束せず,渡航が厳しい場合は,物品費などに活用する可能性もある。
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