2017 Fiscal Year Research-status Report
地方創生に資する若手教員支援・育成システムの存立要件に関する米英調査研究
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17K04622
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 晃一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324987)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育行政 / 教員研修 / 教員政策 / 地域と学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、第一に、当初の研究計画にそくして米国と英国のそれぞれに渡航調査に赴き、関係各位へのインタビュー調査の実施と現地資料の収集に重点を置いた。第二に、わが国における教員・学校と地域との関係について、教育学・教育行政学・教育制度論・教師教育学の見地から先行研究の精査を行い、原理的な検討を行うことに重点を置いた。第三に、米国と英国の動向について、教員と地域の関係に関する基礎的な理論枠組の把握・整理に努めた。第一の渡航調査については、米国ではコロンビア大学教育学部、ニューヨーク市立大学・クィーンズカレッジ、バージニア大学教育学部のそれぞれにおいて、計5名の研究者(大学教員)に対して、米国の教員養成実践・教員政策の動向についてインタビュー調査を行い、資料提供を受けた。またワシントンDC市立小学校1校にて校長に教員の職能成長・教員研修についてインタビュー調査を行い、授業見学・学校見学を行った後、校内の教員研修にも同席して見学、副校長をはじめ、教科主任や教諭等から、教員の評価および研修についてインタビュー調査を行った。英国では、ケンブリッジ大学教育学部にて同国の教員養成制度の概要と課題、ならびに同大学に設置された新たな博士課程プログラムの運用状況についてインタビュー調査を行い、同大学の教員養成課程を履修する大学院生3名を対象として、教員志望者としての学校-地域間関係に関する態度・発想についてインタビュー調査を行った。また、ロンドン市内の新設校の見学に赴き、学校の設立理念や保護者との対応について情報収集を行った。第二に、わが国における教員・学校と地域との関係についての原理的検討については、従来の学説をふまえた検討について論考を作成・発表した。第三の課題については次年度以降の成果発表に向けて資料の整理・読解を手がけている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度においては、研究計画のうち米国および英国における2件の渡航調査が実施できるかどうかが最大の懸案であったが、無事に敢行することができたため安堵している。とりわけ、英国においては在外研究中であった同僚からの最大限の支援を取りつけることができ、次年度以降に向けて調査研究の受け入れ先を開拓することが可能となった。また、地方教育行政機構の再編・スリム化に伴う自生的な学校間ネットワークの生成における教員の異動・職能成長という次の研究テーマにもつながりうる動向を知ることができたのは、本研究にとって重要である。米国渡航においても、当初の予定通り、同じく在外研究中であった他大学の研究者仲間からの最大限の支援を得て、複数の教員養成研究者と面談調査することができ、本研究の遂行に大いに寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、おおむね順調に進展しているため、今後においても当初の研究計画が円滑に進展できるよう努める。なお、今年度の訪問調査で収集した資料のうち、一部、未解析のものがあるため、早急に分析に着手する。
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Causes of Carryover |
書籍等が当初の想定よりも安価に入手できたため若干の額が残った。1000円程度の少額のため、次年度の図書購入費に算入する計画である。
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