2017 Fiscal Year Research-status Report
Builing of the best program for training of child abuse social workers
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17K04704
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
齋藤 知子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (10460289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 児童虐待死亡事例検証 / 裁判記録 / 事例研究会 / 人材育成 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、子どもの虐待死をできるかぎり抑止するために、子どもの死亡事件について、警察や検察庁で作成された供述記録 や公判記録などの司法の裁判記録を活用し、子どもの虐待対応の専門職の質的向上を目指すための教育プログラムを開発することである。 具体的な方法として、厚生労働省による社会保障審議会児童部会「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」の報告や都道府県の「児童虐待による死亡事例検証委員会」による報告と、司法の裁判記録とを時系列で整理し重ねて比較し、虐待死に至るまでの プロセスを再現し、事例研究を行うことで、行政は何を見落としているのか、または見間違ったのか、行政側の見えていなかった点を探り、なぜ虐待死亡事件を防ぐ効果的な介入ができなかったのか、加害者や関係者の心情についても合わせて検討した。 本研究は、現在までにA県がインターネット上に公開している「児童虐待死亡事例検証報告」の全件5事例について、報告書を参考に裁判記録等の閲覧申請をし、検察庁にて閲覧が許可された事例について資料を収集し、事例研究会を開催した。 本研究の目的である専門職種の質的向上を目指すための教育プログラムを開発するためには、児童虐待死亡事例検証に、新たに司法記録を活用することが有意義なことは研究会の参加者からも聞かれ、今後の虐待死亡事例検証においても、先駆的な意味を持つ研究となる。今後は教育プログラムとして、これらの成果を様式化するために定期的な事例研究会の開催や、先進的な取り組みを行っている海外の人材育成の方法なども参考にし、わが国の児童虐待防止のための専門職の養成に有効な提言につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
裁判記録の閲覧については、希望していた8事例のうち、1事例についてのみ閲覧することが出来た。閲覧が完了した事例については分析などは順調に進み、総合考察まで達しているが、分析結果を用いた事例研究会の開催のための準備は進んでいる。現在、検察庁に申請している事例の閲覧の許可を待っているだけでなく、さらに追加で申請を行い、許可が下り次第、順次進めていく予定である。 また、児童虐待に関わる専門職の質的向上のための人材育成の教育プログラムについて、以前を調査を行ったアメリカの他海外の先進的なものを調査し、情報収集する予定であったが、裁判記録の閲覧が進んでいないため、こちらも着手できていない。今後、すみやかに進めていきたい。 裁判記録を用いた事例研究会を定期的に開催し、実際の現場で活用することで、介入のポイントを明確にすることが出来るとしてきたが、1回のみの開催となり、定期化することが出来なかった。今後は、児童相談所への参加の働きかけなどを行いながら、さらに進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)児童虐待死亡事例の裁判記録の閲覧については、研究協力者なども活用しながら、現在、申請中の7件より追加し、より多くの裁判記録を閲覧していく。閲覧結果から独自のフォーマットで分析した結果を用いて事例研究会のための資料を作成し、関係機関や専門職の参加を求めて事例研究会を実施していく。現在までに実施した事例研究会の成果として、従来の児童虐待死亡事例検証では見えてこなかった保護者からの供述が加味され、今後の児童虐待への対応に活用することが出来る新たな視点が挙げられた。これらを人材育成のプログラムに生かせるようにより多くの事例をデーター化していく。 (2)海外事例の児童虐待に関わる専門職の質的向上のための人材育成の教育プログラムについて調査し、合わせて、我が国における児童虐待死に関するソーシャルワークと司法機関の連携構築を示唆していく。 上記(1)(2)の研究結果を整理し、学会での研究発表や論文投稿などを行い、研究成果について随時、報告を行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた事例うち、7事例の閲覧許可がまだ下りなかったため、各検察庁に出張していなく、またそのための複写代、テープ起こしなどの費用も今年度中には行えなかったため。また、予定していた事例研究会も1回のみの開催で謝金や会場費なども次年度以降に使用を希望する。 (使用計画)追加の裁判記録の申請と申請中のものについては許可が下り次第、閲覧とその事例を用いた事例研究会の実施を行う。閲覧にかかる費用や複写代金、事例検討会の参加協力者への謝金などに使用する。海外インタビュー調査(ハワイオアフ島、32年度に向けたイギリス、ドイツの調査)を実施するための旅費、通訳費、謝金に使用する。 上記の1.2について中間報告会の実施(参加者への謝金・旅費)と報告書の発行(テープ起こし、製本代金)に向けた準備を行う。
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