2021 Fiscal Year Research-status Report
Builing of the best program for training of child abuse social workers
Project/Area Number |
17K04704
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
齋藤 知子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (10460289)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 児童虐待 / 事例研究 / 裁判記録等 / 専門職育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
・2021年度の研究実績の概要は、2019年6月にネバタ州のCOFSWを訪問し、虐待専門のソーシャルワーカーにインタビューを行いアメリカでの虐待対応の職員の採用とその後の研修方法について、大学等の研究機関と連携し、1年間の研修体制を整えていることを伺った。資料なども頂けたため、その成果と裁判記録を参考に作成した資料を用いて事例研究会をコロナの蔓延防止が解除された機会に対面とオンラインを併用し、事例研究会も1度も開催することが出来た。 ・一昨年度に、閲覧を行った3事例の裁判記録の内容については、現在、分析を終了し、事例研究会に向けた資料の作成を進めている。 ・2021年度の研究結果については、日本子ども虐待防止学会、日本司法福祉学会、日本社会福祉学会などの全国大会や研究会において発表予定だったが、すべて中止またはオンラインでのシンポジウムなどに制限されており、発表できていない。 ・2020年3月にハワイで児童相談センターや女性刑務所、母子支援センターなどを訪問し、アメリカの虐待対応の専門職育成について、研修する予定であったが、新型コロナウイルスのため、渡航が直前の中止となり、2021年度に延期したが、コロナ禍が続いており、海外調査は実施することが出来なかった。また2021年中に実施予定だった三重地方裁判所、高知地方裁判所など新たな事例について、児童虐待死亡事例の裁判記録の調査予定も、やはり閲覧に出向くことが出来ず、研究が2年間停滞している。 ・コロナ渦で出来る範囲で今までの閲覧記録の分析や、引き続きインタビュー調査の翻訳などを進め、学会誌への投稿を予定している。また2月に試験的に実施したオンラインを用いた事例研究会は今後も活用していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
・2017年度~2019 年度については、児童虐待死亡事例についてマスメディアなどによる情報などを収集し、各都道府県で実施し報告されている「児童虐待死亡事例検証報告」に該当する事件の確定裁判記録の閲覧申請を行って4事例について実施し、そのうちの2事例については児童虐待に係る関係職種や研究者の参加協力を得て事例研究会を実施した。 ・また、海外調査研究として2019年6月にはアメリカ・ネバダ州の児童相談センターのソーシャルワーカーにインタビュー調査を行い、アメリカでの虐待対応スタッフの人材トレーニングのシステムと方法について調査した。その後の2020年については、新型コロナウイルスへの対応のための緊急事態宣言、蔓延防止下で、海外調査、裁判記録の閲覧のための出向、事例研究会の開催がすべて滞っており、この2年間は机上で行える範囲での、収取済みの資料の分析や報告のための作成に終わり、予定の1割も進まなかった。 ・2021年度も予定していた新たな児童虐待事件の裁判記録の収集や延期していたハワイでの調査は中止されたままになっている。 ・2021年度はすでに収集した裁判記録2事例について、分析を進め資料が完成したため、対面での事例研究会からオンライン(リモート)を用いた事例研究会の準備に着手し、2月に1事例を行うことが出来た。実施した結果は、対面とそれほど変わらない成果が得られ、現在、事例研究会の結果を分析中である。今後もしばらくはこのような状況が続くことも予想される中、新たな事例の収集にこだわらず、今ある資料に基づて、研究会開催後の考察を整理していき、その結果に基づく「テキスト」の作成を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
・2021年度は再延長後の最終年度となり、本来は今まで検察庁に出向き収集した裁判記録を分析し、資料を作成して事例研究会を実施し、その結果を踏まえ、テキスト化したものを報告する年度となるはずであった。また、児童虐待対応専門職の人材育成が進んでいるアメリカへの調査結果から、別の視点を用いて、アメリカで活用されているテキスト化した資料をどのように専門職育成に活用していくかを検証していく予定であった。 ・これからは新たな情報の収集は調査に出向くことが難しい状態が継続することも考えられるため、すでにある資料を丁寧に分析し、新たな視点での方向展開が必要である。今年度は新たな事例の収集は最低限度とし、今あるもののを活用し実施済みの事例研究会などの成果をまとめ、その結果を児童虐待に関わる専門職の人材育成の場で活用できるテキストとして報告できるようにする。海外調査も現地に出向けない場合は、インターネットを使って調査依頼を行うなど新たな視点で実施していく予定である。 ・同じく事例研究会も今までは10名から20名近くが参加して対面で実施していたが、2021年度にオンライン(リモート)でおこない、発言のタイミングなど、対面で実施する場合と多少の不都合はあったが、試行していく中で、大きな不都合はないため、今後もオンラインを活用して、事例研究会を実施して行く予定である。 ・また上記の結果を研究報告会の開催、報告書を作成し、研究成果を公開し活用を目指していく。
|
Causes of Carryover |
昨年度に続き、今年度も世界的なコロナウイルスの影響下にあり、延期されていたハワイの調査も延期ではなく、中止となった。また年度ごとの研究成果を発表していた「日本司法福祉学会」「日本社会福祉学会」「日本子ども虐待防止学会」などの所属学会も各全国大会はオンラインで実施またはポスター発表のみなどの対応がとられており、1回のみの参加となった。 ・本研究に取って重要な意味を持つ裁判記録を検証に用いた事例研究会の開催も制限され、試行的にハイブリット方法(zoomと対面の併用)で1度行うことができたが、計画時には今年度中に4回実施する予定だったため、研究全体が停滞したままである。 ・上記のような状況から、出張費、謝礼金、学会参加費など大規模な支出が中止されたために、計画に対して使用しない金額が生じ、次年度使用額が生じた。 ・次年度については、大幅に遅れが生じている裁判記録の収集と、海外での虐待対応専門職の人材育成についての調査を再開し、得られた情報を分析し、事例研究会を再開する予定である。さらに事例研究会の結果を踏まえ、人材を育成するためのテキストを作成し、研修に活用できる形にしていく計画である。
|