2022 Fiscal Year Research-status Report
Builing of the best program for training of child abuse social workers
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17K04704
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
齋藤 知子 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (10460289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 裁判記録 / 専門職育成 / 事例研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
・2022年度の研究実績の概要は、年度後半にコロナ禍が収束の兆しが見えてきたため、各検察庁に申請中だった児童虐待死亡事例の裁判記録の閲覧許可がおり、広島県、埼玉県、神奈川県、東京都の4事例について、現在閲覧中の1件も含めすべて閲覧済みとなった。閲覧した記録については、今後、事例研究会の資料に活用できるように資料の作成を進めている。 ・2019年6月にネバタ州のCOFSWを訪問し、虐待専門のソーシャルワーカーにインタビューを行いアメリカでの虐待対応の職員の採用とその後の研修方法について、大学等の研究機関と連携し、1年間の研修体制を整えていることを伺った。追加の調査として、2020年3月にハワイで児童相談センターや女性刑務所、母子支援センターなどを訪問し、アメリカの虐待対応の専門職育成について、研修する予定であったが、新型コロナウイルスのため、渡航が直前の中止となり、2021年度に延期したが、コロナ禍が続いており、海外調査は実施することができなかった。引き続き2022年度も行うことができなかったが、コロナ禍が解除された機会に海外調査も実施予定である。 ・2022年度の研究結果については、日本子ども虐待防止学会、日本司法福祉学会、日本社会福祉学会などの全国大会や研究会において発表することができた。特に日本司法福祉学会では、企画分科会を立ち上げ、児童相談所、弁護士、精神保健福祉士に参加してもらい事例研究会のシミュレーションをおこなった。会場からも様々な意見や感想をもらうことができ、今後の研究成果に大きな示唆をもらうことができた。 ・またその他にも事例研究会を3回開くことができ、様々な分野の方々から幅広い意見をもらうことができた。コロナ禍で開催したオンラインを用いた事例研究会は今後も活用していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
・2017年度~2019年度については、児童虐待死亡事例についてマスメディアなどによる情報などを収集し、各都道府県で実施し報告されている「児童虐待死亡事例検証報告」に該当する事件の確定裁判記録の閲覧申請を行って4事例について実施し、そのうちの2事例については児童虐待に係る関係職種や研究者の参加協力を得て事例研究会を実施した。 ・また、海外調査研究として2019年6月にはアメリカ・ネバダ州の児童相談センターのソーシャルワーカーにインタビュー調査を行い、アメリカでの虐待対応スタッフの人材トレーニングのシステムと方法について調査した。その後の2020年については、新型コロナウイルスへの対応のための緊急事態宣言、蔓延防止下で、海外調査、裁判記録の閲覧のための出向、事例研究会の開催がすべて滞っていた。そのため、この2年間は机上で行える範囲での、収集済みの資料の分析や調査報告の作成準備に終わり、予定の1割も進まなかった。 ・2022年度は後半になって、新たな児童虐待事件の裁判記録の収集が動き出したが、ここまで3年間の停滞した分は取り返せていない。 ・本来ならば、この時点で3年前の進捗状況であるが、新たにオンライによる事例研究会などの開催などをおこなえたことは、この方法論の獲得は大きな成果である。新たな事例の収集にこだわらず、今ある資料に基づて、研究会開催後の考察を整理していき、その結果に基づく「テキスト」の作成を進めていく予定である。 ・一方で後半には裁判記録の閲覧ができたため、収集した4事例の裁判記録の分析を行い、事例研究用の資料の作成を進めていく必要があり、準備に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・2022年度は再延長後の最終年度の予定であり、本来は今まで検察庁に出向き収集した裁判記録を分析し、資料を作成して事例研究会を実施し、その結果を踏まえ、テキスト化したものを報告する年度となるはずであった。また、児童虐待対応専門職の人材育成が進んでいるアメリカへの調査結果から、別の視点を用いて、アメリカで活用されているテキスト化した資料をどのように専門職育成に活用していくかを検証していく予定であった。しかしながらそれが難しい状況でさらに延長が認められたことで、次年度の報告に向けて準備をおこなった。 ・今年度は新たな事例の収集が4事例おこなうことができたため、事例研究会などの資料の作成を進め、成果をまとめ、その結果を児童虐待に関わる専門職の人材育成の場で活用できるテキストとして報告できるようにする。海外調査も現地に出向けない場合は、インターネットを使って調査依頼を行うなど新たな視点で実施していく予定である。 ・同じく、2022年度とオンライン(リモート)でおこない、発言のタイミングなど、対面で実施する場合と多少の不都合はあったが、試行していく中で、大きな不都合はないため、今後もオンラインを活用して、事例研究会を実施していく予定である。 ・また上記の結果を日本子ども虐待防止学会、日本司法福祉学会、日本社会福祉学会などの全国大会や研究会において今後も継続して発表していきたい。また研究報告会の開催、報告書を作成し、研究成果を公開し活用を目指していく。 ・裁判記録の分析、事例研究会用の資料の作成、事例研究会の実施、事例研究会から得た考察の収集と分析、といった一連の研究方法をよって得ることができた成果をまとめ、最終的な児童虐待にかかわる専門職の人材育成のための研修テキストの作成をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
・後半になって申請中の裁判記録の閲覧が進んだり、学会も対面で再開し、研究発表ができたり、事例研究会も進めることができた。しかし前半はここ3年間の状況と同じで、対面での研究会などは限られ、また海外調査も進まなかったため、報告できる状態になかった。そのため、再延長を申し出た。ここからは最終年度として停滞していた研究活動が再開し、次年度は成果報告ができるように計画していく。 ・今年度、使用予定でできなかった検察庁での記録の閲覧、事例研究会の開催、海外の人材育成の事態調査、研究発表の機会を持つなど次年度の繰り越しで実施予定である。
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