2018 Fiscal Year Research-status Report
The body matters: embodying the musical creativity and communication
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17K04735
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
今田 匡彦 弘前大学, 教育学部, 教授 (30333701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サウンドスケープ / サウンド・エデュケーション / 創造性 / 身体性 / 音楽教育 / ユニヴァーサル・デザイン / 特別支援教育 / インクルーシヴ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の音楽教育は既成の音楽を基盤に展開されてきたため、楽譜の再現や鑑賞が重視されてきた。その結果音楽に必要な身体性と創造性が欠如する傾向があった。本研究では①サウンドスケープ、サウンド・エデュケーションを海外と国内でのアクション・リサーチにより再検討し、②身体性と創造性による音楽教育プログラムの開発、③西洋と非西洋とを超越する音楽そのものの解明を目的とする。2018年度は①②③を基盤としたこれまでの成果を"Developing the Universal Design in Music Education for a New Teacher Policy"及び"Proposing an Active Learning Approach in Japanese Music Education Policy"としてまとめミュンヘンで開催されたInternational Society for Music Education Commission on Policy: Culture and Mediaにて口頭発表した。この発表を基盤とした同タイトルの論文がConference Proceedings(査読付き)に掲載された。同学会で開催された台湾、日本、韓国、マレーシア、香港の研究者によるパネル"Music teacher education policy in Asian regions"では代表を務めるとともに、本研究の他のアジア地域での汎用性についての検討を行った。サウンド・エデュケーションによるアクション・リサーチでは、弘前大学教育学部附属小学校、中学校、特別支援学校にて継続的にアクション・リサーチによる共同研究を行い、公開授業として一般に公開した。その顕著な成果として、附属中学校公開研でのサウンド・エデュケーションによる特別支援学校と中学校との合同授業が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年はこれまでの研究実績成果を国内外の学会(International Society for Music Education, Commission on Policy: Culture, Education and Media、ミュンヘン及び日本音楽教育学会第49回岡山大会共同企画「音楽教育のUniversal Designを構築する:サウンド・エデュケーションによる音楽の普遍項への立ち会い」にて発表し評価を得た。エリザベト音楽大学特別講座「サウンドスケープとユニヴァーサル・デザイン:音楽教育から発信する音楽の普遍項について」では音楽教育プログラムを実践、土井道子記念京都哲学基金シンポジウム「日本哲学と音楽」ではその理論的背景を「子どもたちのための哲学音楽論:サウンドスケープとユニヴァーサル・デザイン」のタイトルの下発表し一定の評価を得た。特に附属特別支援学校と附属中学校の合同授業のアクション・リサーチから得たユニヴァーサル・デザイン及びインクルーシヴ教育の知見は本研究の核心に迫る重要な成果となった。西洋と非西洋を架橋するための理論・実践両面の研究については英国にて講演"Using the Concept of Soundscape to Develop the Universal Design in Music"(Goldsmiths, University London)を行い評価を得た。以上の成果はCreativity in Music Education (Springer)第3章 "Soundscape, Sound Education, and the Grain of the Music: Experiencing the Luminousness of Music Being What It Is" pp.35-45でも示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
身体性と創造性を重視したサウンドスケープ及びサウンド・エデュケーションに基づく音楽教育プログラムの試案として、2018年度は弘前大学教育学部附属小学校、中学校、特別支援学校でアクション・リサーチを行った。前年度と比較した大きな進捗は特別支援学校と中学校の合同授業である。このアクション・リサーチから新学習指導要領が示唆する協働、創意工夫のみならず特別支援学校の子どもたちの身体性、創造性を中心に据えたインクルーシヴ教育及びユニヴァーサル・デザインの可能性が明確化された。以上の成果を踏まえ、2019年度はこれまで構築してきた実践プログラムを基盤として弘前大学教育学部附属小学校、中学校、特別支援学校で引き続きアクション・リサーチを行い、より洗練された音楽教育実践カリキュラムの完成を目指すとともに、これまでの成果を英語論文"Soundscape, Universal Design and Music Education"にまとめ、7月にマカオで開催予定のThe 2019 APSMERにて発表する。また英国ロンドンのNordoff Robbins Centreでの講演、日本音楽教育学会第50回大会(東京藝術大学)、日本音楽即興学会大会にて成果発表を行うとともに、International Journal of Creativity in Music Educationに研究論文を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に海外2件(マカオで開催予定のThe 2019 AOSMER及び英国のThe Nordoff Robbins Centreでの講演)、国内2件(日本音楽教育学会第50回大会及び日本音楽即興学会2019年度大会)の成果発表が予定されているため、前年度分を旅費として使用する予定である。
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