2020 Fiscal Year Research-status Report
戦前期中等学校国語科教科書における古典教材の採録状況に関する研究
Project/Area Number |
17K04786
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小笠原 拓 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20372675)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦前期中等教育 / 国語教科書 / 目次データベース / 古典教材 / 教科書検定制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、本来、戦前期の中等学校教科書における古典教材の採録状況について調査することによって、将来における古典教材の取扱いのあり方について検討するための、基礎的な資料を提示することを目的としたものである。しかし、調査の進展に伴い、戦前期の中等学校教科書については、資料の整備において、これまで行われてきた様々な研究に大きな問題があることが判明した。そこで本研究では、一昨年度より計画の一部変更を実施し、戦前期中等学校国語教科書に関する基礎的資料の整備を進め、さらにより研究上必要とされる、目次データベースの作成に向けた、新たな研究体制の構築を目指すこととした。他方で、調査対象を絞った形で、戦前期の中等学校教科書における古典教材の採録状況に関する有意義なデータを抽出し、今後の研究に資する基礎的資料の提示を目指している。 本年度は、近年の教育研究機関における中等学校国語科教科書に関する研究を踏まえ、資料整備についての新たな課題を確認することを目標として定めた。本年度期間中に、国立教育政策研究所における所蔵教科書に関するデータベースの改善が行われたことから、このことも視野に入れて、今後の研究課題を更に見直し、より効果的な資料整備のあり方について検討することをめざあした。同時に、これまで本研究を行う過程で見えてきた古典教材の採録状況に関するデータの分析も別個に進め、教科書における古典教材が果たしてきた役割について、研究を進めた。これらの作業を通じて、今後の古典教育のあり方を問い直すための基礎的研究となることを目論んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の概要で述べたように、一昨年度より本研究に関する計画の一部変更があり、そのこともあって研究の進展がやや遅れている。但し、この計画変更については、昨年度および一昨年度の研究により、様々な研究者からの協力を得ることができ、現在も新たな研究体制の構築に向けて、継続的な研究交流が進んでいる。しかし一方で、新型コロナウイルスの影響によって、追加の資料調査をすることがほぼ不可能になり、これまでの調査によって集めた手元の資料のみで研究を勧めざるを得ず、研究の大きな進展が望めない状況に陥ってしまった。さらに筆者自身に体調不良が生じたことにより、追加調査や論文化に向かうための作業が滞ったため、研究に遅れが生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず昨年度に発表した論文の続編として、これまでの戦前期中等学校国語科教科書に関する研究状況の問題点と、新たなデータベース構築に向けた課題について、2020年10月に実施された国立教育政策研究所附属教育図書館のデータベースの改善などを視野に入れて、まとめを行いたい。この取り組みについては、新たな調査も実施し、近年の動きやその背景についても明らかにできればと考えている。また昨年まで行ってきた調査に加え、追加の調査を実施した上で、特定の教科書に絞った形での、戦前期国語教科書における古典作品の再録状況の変遷に関しても、何らかの報告ができればと考えている。さらに本年度も行ってきた、戦前期国語教科書研究に関する新たな研究体制の構築についても、継続的に続けていきたい。
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Causes of Carryover |
最も大きな理由は、新型コロナウイルスの影響によって、戦前期国語教科書に関する調査がほとんど不可能になったことである。多くの図書館が緊急事態宣言などに伴って、資料の閲覧等が制限されることになった。例えば最も多くの国語教科書を所蔵している国立教育政策研究所附属教育図書館は、現在まで館内閲覧を禁止しており、デジタルによる対応だけとなっている。本研究のように大量の資料を一度に見る必要がある本研究において、このような制限下で研究を続けるのは非常に困難であった。 またもう一つの要因として、秋以降、筆者自身が原因不明の体調不良に陥ったことで、そもそも県外に資料調査に行くことが不可能になってしまったこともある。まずは体調を整え、資料調査が可能な状況になった段階で、効率的な調査活動を実施しようと考えている。また、万が一、資料調査がこれ以降も難しいと判断される場合は、手持ちの資料や近隣の研究機関に所蔵された資料、及びデジタルによる対応なども利用し、可能な範囲で調査を行って、必要な成果に繋げたい。
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