2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study of citizenship development educational practices focused on solving local problems
Project/Area Number |
17K04804
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉村 功太郎 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00270265)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 市民性教育 / シティズンシップ教育 / 社会科教育 / 総合的な学習の時間 / キャリア教育 / 批判的思考力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地域社会の課題解決に焦点を当てた市民性育成を目指した教育について,学校の具体的なカリキュラムと授業実践のレベルにおいてその特質を抽出して分析/類型化を行い,それらの意義と特質,有効性と課題について,その目的や理念だけでなく,国際的な観点も含めて多様な側面から総合的に評価・検証することを目的としていた。 明らかになった第1の点は,取り上げられる地域社会の課題の多くは,少子高齢化やグローバル化,情報化の進展,AI等の科学技術の急速な進展に基づくものであるが,その課題解決の方向性や学習活動で育成を目指す資質・能力には,違いが見られたことである。課題解決の方向性では,課題の原因や背景の分析とその解決のための施策の案出や実現のための法や制度の批判的検討などを行うタイプと,課題状況の改善のために地域資源を再発見して利活用を図ったり新たなアイデアを案出したりといったことを目指すタイプに分かれた。育成を目指す資質・能力としては,前者は制度を含む社会の批判的分析による社会形成に関するものが強く意識される一方,後者は新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造するようなものが強く意識されている。 第2の点は,そのような違いが,教育課程上の位置づけ,ならびに学習活動における地域社会との協働の形態に関連していると考えられる点である。社会科,公民科の学習か,総合的な学習(探究)の学習かによって,また,学習活動における地域社会との距離の違いによって,学習活動や育成を目指す資質・能力の違いが現れていると考えられるが,この点については,さらなる分析が必要である。
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