2017 Fiscal Year Research-status Report
改良学校国文法を用いた授業実践による中学生の論理的思考力と伝え合う力の涵養
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17K04829
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
佐藤 勝之 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 教授 (80215772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 太郎 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 講師 (20743850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校国文法 / 橋本文法 / 文法教育 / 文章表現 / 論理的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究の基盤を整えるため、(1)学校国文法に関連する先行研究の調査、(2)中学校国語教科書に記載された言語事項の確認・整理、(3)中学生の記述物(特定の課題についての感想文等)の文法上・表現上の特徴の整理、これら3点について研究を行った。 具体的には、研究代表者および研究分担者を中心に、(1)先行研究の調査を行い、すでに戦後の早い段階から現行の「橋本文法」への批判があり、これを克服すべく国語教材が作成・出版されて実際に教育現場で使用されていたこと、他方、現在に至るまで中学国語の検定教科書において学校文法の中核部分が「橋本文法」に基づくものであり、このことへの批判が最近まで反復的に行われていることが確認できた。 (2)中学校国語教科書において言語事項は依然として「文節」という発話上の単位に基づく文機能論(「文の成分」論)が行われている一方で、文章全体の視点から「事実」と「考え」の区別の明確化や、“意味のまとまり”同士の接続の多様性(時系列的展開から、原因-結果、二者の対比、類と種の関係等)の意識化など、“テクスト生成”に有効となりそうな文法的コンセプトを提示してきていることが分かった。 (3)研究協力者の提供してくれた中学生の実際の記述物を調べて、個別的な問題点から共通の改善すべき特徴が浮かび上がり、これらが、私たちが今後提示することになる「改良版学校国文法」によって、少なからず改善できる可能性があることが確認できた。 これらの事項は、研究代表者・研究分担者・研究協力者間で会合を重ねることによって、共有しているものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた以下の事項について、おおむね計画通りに推移している。すなわち、(1)学校国文法に関連する先行研究の調査、(2)中学校国語教科書に記載された言語事項の確認・整理、(3)中学生の記述物(特定の課題についての感想文等)の文法上・表現上の特徴の整理、である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、(1)中学(中等教育)国語教員の「文法教育」に対する意識調査を行い、統計的処理をする。これによって、文法教育の実践的な意義を確認し、他方、平成29年度の研究成果を生かしながら(2)具体的な「改良版学校国文法」の案を作成していくことが、重要な課題となる。
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Causes of Carryover |
平成29年度について、物品費に関しては書籍類の購入が進まず、旅費に関しては地方への研究出張が行えず、次年度に繰り越しとなっている。平成30年度には書籍の購入、研究出張によって使用する計画をしている。
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