2019 Fiscal Year Research-status Report
改良学校国文法を用いた授業実践による中学生の論理的思考力と伝え合う力の涵養
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17K04829
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 勝之 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80215772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 太郎 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (20743850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校国文法 / 橋本文法 / 文章読解と文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度および30年度の研究の整理を踏まえて、(A)中学校1年生向きの学習材を作成・提供し、実施してもらった(2019年7月)。具体的には、光村図書『国語1』(平成30)の単元である「ダイコンは大きな根?」の本文読解を、(1)文章の題名の働き(「マクロテーマ」)、(2)文の組み立ての2パターンと意味内容との連関(「テクストタイプ」)、(3)文章中の読者への問いかけの働き(「対人性」)に焦点を当てながらプリント学習の形で実践してもらった。結果的に、(1)・(3)については作成者の意図に沿う解答が多く、(2)は、これを理解してもらうのが難しかったと判断された。 (B)現職の中学校(高等学校)国語科教員諸氏に「言葉」および「文法」の学習についてのアンケートを行った(2019年10月)。全体として、日本語を母語とする生徒たちに「文法」(口語文法)を学習させることは有意義なことだという回答を得た。理由としては、「自分の使っている言葉を意識できるようになる」「より的確な文章理解・文章表現が出来るようになる」「古典学習(文語文法学習)に有益である」を挙げている(選択式回答)。他方〈橋本文法〉が含む問題を踏まえた問い掛けに対しては、「教科書(学習指導要領)が学習事項としている文法である」という回答も見られた(同)。 (C)これまでの研究の概要を学会発表の形で公表した。具体的には、研究代表者が会員になっている日本機能言語学会において、「国語教科書の「説明文」の理解―SFL諸概念の応用の試み―と題して口頭発表を行った(事前の査読あり;第27回日本機能言語学会秋期大会 2019年10月20日、於・安田女子大学)。内容的には、(A)・(B)の結果の報告とその解釈が中心となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】に記したように、(A)中学校1年生向きの学習材を作成・提供し、実施してもらうことができた。また、(B)現職の中学校(高等学校)国語科教員に「言葉」および「文法」の学習についてのアンケートを行うことができた。さらに、(C)これまでの研究の概要を学会発表の形で公表することができたので、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、教科書掲載の〈言語事項〉をさらに精査し、文章読解に活かせるような改良版学校国文法を整えるとともに、〈文法〉と〈読解〉の連関を生徒・教員双方により意識してもらえるような、具体的な学習材を複数作成し、プリント教材として実践してもらえるように、紙媒体および電子媒体によって提供することを計画している。
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Causes of Carryover |
〈文法〉と〈文章読解〉との連関の理解のための解説、および具体的な学習材の作成が十分に進まず、これに基づくインターネット配信の装備を整えることができなかったため。今年度はこれらを順次整備することを計画している。
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