2021 Fiscal Year Research-status Report
改良学校国文法を用いた授業実践による中学生の論理的思考力と伝え合う力の涵養
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17K04829
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 勝之 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80215772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 太郎 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (20743850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校国文法 / 文節 / 連体修飾語 / 連文節 / 語 / 句 / 節 / 結束性 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校国文法は、言語表現(パロール)の単位を、最も大きいものから(1)文章(・談話)、(2)段落、(3)文、(4)文節、(5)単語に分け、このうちの(4)文節―「ね、さ、よ」で「自然に区切られる」言葉のまとまり―を基本の単位として、「文の組み立て」を考えていくという方策を取っているが、(「連体修飾語」が「体言」(=名詞)ではなく「体言を含む文節」を修飾すると説明するなど)統語論的・構文論的にこの考え方はうまくいかないことが、すでに長年にわたって指摘されている。 この研究プロジェクトにおいて、それぞれ1つの文節による文の成り立ちの説明では、「文節構文論」が成り立ち得るが、連体修飾語を含む「連文節」では「文節構文論」が機能しないことを指摘し、「音や韻律の単位」としての「文節」と、統語法・構文法の単位としての「語」・「句」・「節」を区別すべきであることを主張し、これを前提とした「改訂版学校国文法」を検討中である。 具体的には、中学校国語科教科書における実際の記述・説明との関係において、その不合理を指摘しつつ、教科書使用者である教員と生徒ができるだけ混乱しないようなかたちで、これを修正・追加し、より合理的な「文の組み立て」の理解へとつなぐ方策を案出しようとしている。 「文」のより合理的な理解は、生徒たちがしばしば陥る「てにおは」の混乱の回避することにつながり、さらには、ハリデー・ハサンの結束性の思想を援用することによって、「文章」のきちんとした理解へとつながるものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、研究会の定期的な開催や研究発表の機会は十分に確保できなかったが、各個人においては、「研究実績の概要」に記したように、おおむね研究計画にしたがった研究の進捗を認めることができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究プロジェクトにおいて、それぞれ1つの文節による文の成り立ちの説明では、「文節構文論」が成り立ち得るが、連体修飾語を含む「連文節」では「文節構文論」が機能しないことを指摘し、「音や韻律の単位」としての「文節」と、統語法・構文法の単位としての「語」・「句」・「節」を区別すべきであることを主張し、これを前提とした「改訂版学校国文法」を検討中である。 具体的には、中学校国語科教科書における実際の記述・説明との関係において、その不合理を指摘しつつ、教科書使用者である教員と生徒ができるだけ混乱しないようなかたちで、これを修正・追加し、より合理的な「文の組み立て」の理解へとつなぐ方策を案出しようとしている。 「文」のより合理的な理解は、生徒たちがしばしば陥る「てにおは」の混乱の回避することにつながり、さらには、ハリデー・ハサンの結束性の思想を援用することによって、「文章」のきちんとした理解へとつながるものとなる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、対面による学会発表の中止や研究会の中止によって、旅費が使えなかったが、研究協力者を通しての授業教材の印刷および最終成果物の印刷に、残額を使用する予定である。
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