2018 Fiscal Year Research-status Report
柔軟なコンピテンシー・モデルに基づく道徳教育の方法の開発
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17K04840
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 誠 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (60449957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 道徳教育 / コンピテンシー・モデル / 自我発達理論 / カリキュラム・マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は新学習指導要領が求める「各教科等の文脈の中で身に付けていく力と、教科横断的に身に付けていく力とを相互に関連付けながら育成」する教育を道徳科において実現するため、柔軟なコンピテンシー・モデルに基づく道徳教育の方法を開発しながら道徳の内容項目全体に関する指導評価用コンピテンシー・モデルを体系化し、カリキュラム・マネジメントに資することを研究の最終目的としている。本研究では道徳科のいくつかの内容項目に関する指導評価用 コンピテンシー・モデルを構築し、学校現場での授業実践、教師と研究者による事後検討、および教師による子どもの行動観察に基づいてモデルを検証、洗練しながら柔軟なコンピテンシー・モデルに基づく道徳教育の方法を開発することを目的とする。 2018年度は、まず複数のコンピテンシー・モデルに共通する視点や思考を検討する過程で自我発達理論における「自己の視点の成長」がコンピテンシー・モデルの成長と関わっているのではないかという仮説に基づいた研究を行った。具体的には学級活動と道徳科の単元構成を通して道徳性の成長についての見通しに基づく担任の願いと子どもたちの目標とを融合したカリキュラム作りと実践、および評価を行った。その結果、本単元構成による学習を通して子どもたちの自我発達段階が成長するとともに、「相手の立場に立って考える力」の構成要素がある程度明確になり、子どもたちの間でも共有されつつあることが示された。 また、「責任」についてのコンピテンシー・モデルを構築するための基礎的研究として、責任概念の歴史的発展過程を能動性と受動性のスペクトラムによる相補的な視点から捉え直すことで責任概念を大きく四つに類型化し、理想主義と現実主義、行為主義と人格主義の二軸平面上に位置づけた。これにより「責任」についての学習の系統化・単元化の可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では当初、いくつかの内容項目について指導評価用コンピテンシー・モデルを構築し、それに基づいて単元構成を計画、実施、評価する方法を確立することを目的としていた。この目的についてはほぼ達成されているが、新たな課題として複数のコンピテンシー・モデル間の関係性を明らかにする必要が生じており、次の研究課題への接続を検討する必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のコンピテンシー・モデル間の関係性を明らかにする取り組みを継続するとともに、コンピテンシー・モデルに基づく単元構成の方法を一般化し、普及するための方策を検討する。
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