2017 Fiscal Year Research-status Report

学校で教員が行う解決志向アプローチに関する研修プログラムの開発と効果検証

Research Project

Project/Area Number	17K04870
Research Institution	Kochi University
Principal Investigator	金山元春高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (00457409)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	解決志向 / 生徒指導 / 教育相談 / 教員 / 教員志望学生 / 研修 / 学校
Outline of Annual Research Achievements	本研究は現職教員と教員志望学生を対象とした解決志向アプローチ（Solution-Focused Approach: SFA）に関する研修プログラムを開発し、その効果を検証することを目的とする。SFAとは人々のもつリソースや強みを活かすアプローチである。生徒指導・教育相談は、児童生徒の問題行動への事後的対応に目が向けられがちであるが、本来は児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指すものである。しかし、この理念を具現化するための方法は未だ試行錯誤の状態にある。こうした現状に対して、SFAの観点から教員研修プログラムを開発することで、生徒指導・教育相談の本来の理念を実現する教員の教育観の変容をも見据えた新たな教員研修のあり方に対して、理論的・実践的・実証的な根拠をもとにした提言をはかる。平成29年度には、日常的に児童生徒に対応している現職教員を対象としたSFA研修プログラムを開発した。これまでの知見に加えて、生徒指導・教育相談に関する指導者層の教員やSFAエキスパートに指導を受けながら研究を進めた。研究成果をもとに現職教員を対象としたSFA研修会を企画・実施した。同時に、教員志望学生を対象としたSFA研修プログラムを開発・実施した。 SFAの姿勢に基づく事例検討会である「解決志向カンファレンス」を現職教員や教員志望学生とともにくり返し実施し検討を重ねた。実践研究を通じて、研修プログラムの一環として事例検討会を位置づけることがSFAに関する理解を促すことがわかった。また、「解決志向」を狭義には捉えず、児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指す教育プログラム（クラス会議、構成的グループエンカウンター、ソーシャルスキルトレーニング等）に着目し研究を進めた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason これまでの知見をまとめ、複数の学術論文として発表した。計画していた現職教員を対象としたSFA研修プログラムを実施した。また、教員志望学生を対象としたSFA研修プログラムも実施できた。 SFAの姿勢に基づく事例検討会である「解決志向カンファレンス」を現職教員や教員志望学生とともにくり返し実施し検討を重ねた。実践研究を通じて、研修プログラムの一環として事例検討会を位置づけることがSFAに関する理解を促すことがわかった。学校現場における生徒指導・教育相談に活かせる実践的な研修プログラムの開発に成功した。また、「解決志向」を狭義には捉えず、児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指す教育プログラムに関する研究を行った。
Strategy for Future Research Activity	「解決志向カンファレンス」に関する実践研究を続けることで、学校における事例検討会や生徒指導・教育相談に関する研修のあり方について検討を深める。学校の生徒指導・教育相談において重要な役割を担う学校のカウンセラーに対してもSFAを学ぶ機会を提供し、学校におけるSFAの活用に関して検討を深める。「解決志向」を狭義には捉えず、児童生徒が自ら課題を解決する力を積極的に開発することを目指す教育プログラムに関する研究に引き続き取り組む。
Causes of Carryover	解決志向アプローチ（SFA）、ブリーフセラピーに関する研修会や学術大会が幸いにも近隣で開催され、SFAに関する実践的指導や最新の学術的知見を得る機会に恵まれたため、旅費、謝金、資料収集のための物品費等の支出が低額となったことによる。研究は順調に進展していることから、研究成果を整理し発表することに伴う経費にあてる予定である。