2019 Fiscal Year Research-status Report
日本伝統鍼灸におけるコアカリキュラム作成のための調査研究
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17K04892
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Research Institution | Meiji University of Integrative Medicine |
Principal Investigator |
和辻 直 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 教授 (60220969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 昭二 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (50141510)
斉藤 宗則 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 特任准教授 (90399080)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東洋医学概論 / 教育項目 / 学修目標 / 度合の評価 / 鍼灸学教育モデルコア・カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に鍼灸教育のカリキュラムが改訂され、鍼灸学教育モデルコア・カリキュラムの必要性が高まった。2018年に我々は東洋医学概論の教育項目における重要度を調査した。本年度は、日本伝統鍼灸に関連がある東洋医学概論の教育項目に設定した学修目標の度合について教員の見解を調査した。 方法は、2018年1月の調査に同意を得た鍼灸師養成学校・大学における東洋医学概論の教育担当者67名を対象とした。調査票は東洋医学概論の国家試験出題基準と『新版 東洋医学概論』を参考に82の教育項目を設定した。コア・カリキュラムにとして必要な学修目標を3つの度合(必須知識61項目、上位知識5項目、選択知識16項目)で提示し、各々評価してもらった。調査手段は郵送とした。解析指標は選択数が返信数の66%以上を多い、33%未満を少ない、その間を中とした。 結果は返信数が45名(回収率67.2%)であった。44名が「評価する」とした教育項目が8項目、43名が「評価する」とした教育項目が11項目であり、全て必須知識であった。また返信数の80%(36名)以上が「評価する」とした項目は必須知識44項目(72.1%)であった。「評価しない」とした項目は、2項目で8名ないし7名の回答であり、いずれも選択知識であった。次に指標を基に「評価する」と回答した中で、必須知識61項目中に多いが55項目、中が6項目であった。上位知識5項目中に多いが2項目、中が3項目であった。選択知識16項目中に多いが2項目、中が13項目、少ないが1項目であった。 本調査における学修目標の度合は、必須知識では賛同を得られたことから、度合の設定は妥当と考えられる。しかし上位知識や選択知識では意見が分かれており、結果を参考に上位知識や選択知識の度合設定の調整が必要である。今後はコア・カリキュラムの作成資料として提示する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
伝統医学領域における鍼灸教育の必要項目の整理 2018年度の研究では2017年度(2018年1月)の研究成果を受け、当初の計画通りにアンケート調査の集計結果から伝統医学領域における鍼灸教育のに必要な項目を整理した。加えて東洋医学概論のコア・カリキュラムと範囲、教科書、教育や学習の状況についての教員の意識を明らかにするため、自由記述回答に着目して傾向を捉えることを試みた。その結果、記述件数は99件で、語句の総抽出数59245082語のうち解析に用いた異なり語数は807802語であった。これらを詳細に分析し、調査の自由記述では教科書に関連する回答が多く、教育項目の重要度を考える上で教科書との関係性が深くかかわるいことが示唆された。また「定義」という抽出語も認め、東洋医学における用語の曖昧さを問題としていると考えられた。 2019年度の研究では、これまでの調査結果を参考に東洋医学概論の教育項目における学修目標の度合を作成することにした。この作成には計画通りに医学教育のコア・カリキュラムを参考することと同時とともに、鍼灸学系大学協議会が提按提案した鍼灸学教育モデルコア・カリキュラム試作案(2019年7月)を参考にした(なお必要な箇所の一部に落丁があり、その確認に1ヶ月半ほど要した)。学修目標の度合をの作成するに時間を要して、10月に2019年の調査票をが完成した。その間、使用していたノートパソコンの可動不調とプリンター(未修理)がの故障したためなど予期せぬ備品の不具合のため、アンケート調査準備がに遅れをきたし、11月中旬にアンケート調査票の発送が11月中旬とを送ることになった。このため、2019年調査の遅延と、その解析状況の遅延もあって、調査研究を一年延長することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査におけるで設定した学修目標の度合は、鍼灸師養成学校・大学における東洋医学概論の教育担当者に東洋医学概論における必須知識としてについて鍼灸師養成学校・大学における東洋医学概論の教育担当者に賛同を得られた。ことから、必須知識が上位知識や選択知識とどのような違いがあるのかを3段階評価結果を基に、評価する(1点)、概ね評価する(0点)、評価しない(-1点)として尺度値を求め、必須知識、上位知識、選択知識それぞれの評価具合を検討することにした。 昨年度の調査により、では上位知識や選択知識ではの意見が分かれたことから、この結果を踏まえて、意見が分かれている理由を検討する。また上位知識や選択知識の度合設定をの調整がの可能か否かも検討する予定である。 また2020年2月下旬に『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験出題基準』2020年版が発行され、本調査の結果との関連、比較も含めて検討することを予定している。 さらに2019年のアンケート調査では調査開始の遅延より、調査対象を必要不可欠である日本の鍼灸師養成施設の教員のみに行った。しかし本来調査対象である鍼灸に関する学会・研究会への調査は実施はできておらず、今年度はそのこれらの団体への調査を予定している。
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Causes of Carryover |
1)調査における費用について 本調査に協力していただいた方の就労状況のため、交通費の支給しかできなかった。またカリキュラム変更に伴う教育業務が増え、親が他界して実家の管理などの時間的制約があって、研究分担者との対面の会合ができず、Web会合を行ったため、交通費などが余剰した。また2019年度の調査対象も一部制限したため、印刷費や郵送費が支出が少額となった。科研費で購入したコンピュータの動作不良、プリンターの故障があり、修理もしくは買い直しを検討している。 2)調査研究が遅延した理由について 既に記載したように教育業務の増加と私事情などの時間的な制約があり、コンピュータの動作不良、プリンターの故障なども重なって調査分析が遅れ、2019年度に行う調査票の郵送が11月中旬となった。
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Research Products
(1 results)