2021 Fiscal Year Research-status Report
「幼児が法則性に気付く体験」に繋がるような環境構成を立案できる保育者の養成の研究
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17K04901
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Research Institution | Kobe Tokiwa University |
Principal Investigator |
大森 雅人 神戸常盤大学, 教育学部こども教育学科, 教授 (00194308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保育・幼児教育 / 規則性 / 法則性 / 科学概念 / 科学教育 / 保育者養成 / 領域環境 / 領域自然 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「幼児が法則性や一般性に自ら気付く体験」に繋がる環境を構成できる力を持つ保育者を養成するための、養成教育の在り方の提案を目的としている。令和3年度は、本研究が目的とする力の育成のための教育におけるミニマムスタンダードを設定するにあたり、研究計画にある3つの検討事項のうち、「教育内容」に関連する研究を実施した。 取り組んだ内容は、日本と米国の幼児期の科学教育において、規則性・法則性及び科学概念をどう捉えて、どう扱っているか、その教育のアプローチはどう異なるのかについての比較検討である。対象は、日本の「幼稚園教育要領解説書等」から抽出した、規則性・法則性及び科学概念に関連すると考えられる記述と、米国の幼児期を対象とした科学教育の在り方を示す「Science Experiences for the Early Childhood Years」である。 その結果、規則性・法則性及び科学概念の扱いには、日本と米国では大きな相違がみられた。日本では活動(遊び)の過程において規則性・法則性を見出そうとする態度の育成が目的となっていることに対して、米国ではアクティビティを通して子どもが規則性・法則性に気付く探究活動を重ねることで科学概念を修得させることが目的となっている。その際に、日本では科学的な正確さや厳密さは求めていないが、米国では正確さを求めている。また教育のアプローチとして、日本では子どもによって引き起こされるアプローチ(偶発的アプローチ)を重視しているが、米国では教師によって導かれるアプローチがとなっている。 幼児期は実体験が大切であるという点では一致しているが、その扱い方や求める資質・能力、教育のアプローチは大きく異なっていることが分かった。そのため、米国における幼児期対象の科学教育を、そのままで日本に導入することはできないが、示唆を与える部分が多いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍となった一昨年度の段階で、当初の研究計画を変更し、以下の通りの研究計画とした。 ①本研究が目指す力を育成する教育における「教育内容」を明らかにする。 ②保育者養成教育の実践に関して海外文献を中心として分析を進めて「保育者に必要な力」を明らかにする。 ③申請者が取り組んできた研究の成果、昨年度からのオンライン授業の効果等を精査して、「学習者の特性と教育方法」の関係をより詳しく検討する。 ④上記の①から③までの検討結果を総合して「ミニマムスタンダード」を設定する。 ⑤設定した「ミニマムスタンダード」を前提として、教育方法の検討を行う。 ⑥開発した教育方法で実践を行い効果の確認を行う。結果に応じて、追加の研究等も実施して教育方法のさらなる改善を行う。 ⑦すべての結果をまとめて、教育の在り方として提案する。 しかしながら、新型コロナウィルス感染症の流行は依然として収束することが無く、年間を通じて感染予防対策、学生の援助、オンライン授業対応等に校務時間をほぼ全てを費やすこととなり、令和3年度の研究実績としては、①の「教育内容」を検討するのみとなった。よって、進捗状況としては、「遅れている」と自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、当初の計画から1年延長した最終年度から、さらに1年の延長を行った年となるので、一昨年度に計画した以下の内容に沿って研究を進める予定である。 ①本研究が目指す力を育成する教育における「教育内容」を明らかにする。 ②保育者養成教育の実践に関して海外文献を中心として分析を進めて「保育者に必要な力」を明らかにする。 ③申請者が取り組んできた研究の成果、昨年度からのオンライン授業の効果等を精査して、「学習者の特性と教育方法」の関係をより詳しく検討する。 ④上記の①から③までの検討結果を総合して「ミニマムスタンダード」を設定する。 ⑤設定した「ミニマムスタンダード」を前提として、教育方法の検討を行う。 ⑥開発した教育方法で実践を行い効果の確認を行う。 ⑦すべての結果をまとめて、教育の在り方として提案する。 ただし、令和3年度は新型コロナウィルス感染症の対応により、ほぼ研究が進められなかった。令和4年度においても、現時点では感染症は終息しておらず、予定通りに研究が進められる目処がないのが実情である。その際は、ここまでの取組で得られた知見をまとめて、成果とすることも考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の対応に追われ、当初の計画通りには研究を推進できなかった。そのため、令和3年度の使用実績は86,555円となった。本年度は、可能な限り、昨年度までの研究の遅れを取り戻したいと考えている。使用計画としては、海外資料の購入、翻訳、学会発表費用等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)