2018 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある子どもの不登校等二次障害に対応し予防する支援体制に関する実証的研究
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17K04936
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
武田 鉄郎 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50280574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新平 鎮博 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 上席総括研究員 (50171369)
西牧 謙吾 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院(研究所併任), 病院長 (50371711)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達障害 / 二次障害 / ASEBA / TSCC-A / 認知的評価 / 心身症等 / 心的外傷 / 不適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
病弱特別支援学校に在籍する中高校生の学校におけるストレス対処過程での特性に関する調査を行い、健常児と比較、検討した。その結果、病弱特別支援学校の71.4%の生徒が不登校を経験して、ASDやADHDなど発達障害のある生徒が57%、心身症、不安障害、適応障害、愛着障害、素行障害等の診断があった生徒も57%を占めた(未記入のもの43%)。ストレス反応尺度の各尺度間の相関を求めると、比較群の生徒よりも「抑うつ・不安」「不機嫌・怒り」に強い正の相関関係が認められた。その他にも発達障害の二次障害が併発している中学生・高校生は認知的評価におけるコントロール可能感の低さ、知覚されたソーシャルサポートの低さが明らかになり、ストレスの緩衝効果が適切に得られず、不安や怒りなどのストレスを非常に感じやすく、積極的なストレス対処や人にサポートを求めることが困難な状況であることが明らかにされた。 また、発達障害、軽度知的障害があり二次障害のある生徒を対象に、ASEBAによる適応/不適応及びTSCC-Aによる心的外傷の有無、ASEBAとTSCC-Aの結果分析を行い、HNUE JOURNAL OF SCIENCE Educational Sciences, 2018, Volume 63, Issue 9AB, pp. 75-83に発表した。 さらに「発達障害の二次障害の対応と予防及び支援に関するガイドブック(試案)」をまとめた。研究最終年度は、保護者や関係機関に活用してもらい、必要に応じて修正を行う予定である。海外調査と支援モデル構築のための情報収集として、国立ハノイ教育大学のNguyen Thi Cam Huong博士と連携し、ベトナムの特別支援教育と特殊教育センターの役割について論文にまとめている。日本LD学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
児童精神病棟等に入院し病弱特別支援学校に在籍している生徒のストレス対処過程の実態把握・結果分析が終わり、ASEBAによる適応/不適応及びTSCC-Aによる心的外傷の有無、ASEBAとTSCC-Aの結果分析を行った。また、ホットルームを月に1回開催し、不登校、ひきこもりなどの二次障害の実態とそのような状態からの改善の事例について質的に分析を行い、事例研究にまとめた。また、ベトナムのハノイ市にある特殊教育センター(Anh Duong special education consultant Center)に昨年度2回に調査に行き、センターの現状と課題について論文にしている。おおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
病弱特別支援学校に在籍する中高校生を中心に、ストレス対処過程での特性に関する調査の分析結果を学術論文にまとめる予定である。また、引き続き、発達障害、軽度知的障害があり二次障害のある生徒を対象に、ASEBAによる適応/不適応の実態把握、及びTSCC-Aによる心的外傷の有無や状況を調査し、ASEBAとTSCC-Aの結果分析を引き続き行っていく。不適応な状態を可視化し、学校における支援体制を構築し、二次障害予防のための研究を継続して行く予定である。 さらに「発達障害の二次障害の対応と予防及び支援に関するガイドブック」をまとめ、ホームページに公開していく予定である。国立ハノイ教育大学のNguyen Thi Cam Huong博士と連携し、ベトナムハノイにおける育と特殊教育センターの発達障害の二次障害予防のためのシステムを論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
分担者の西牧謙吾博士が、予定していた情報収集のための学会に、本務業務のため欠席した。そのために78,998円繰り越した。 次年度の使用計画は、日本小児科学会等の学会にて発表と情報収集を行う予定である。
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Research Products
(5 results)