2019 Fiscal Year Research-status Report
教育・医療・家庭の連携モデルによる「発達障害や夜尿の子どものQOL向上」の試み
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17K04950
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
田村 節子 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (40549151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕一 昭和大学, 医学部, 教授 (40327888)
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (50232278)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 夜尿 / 発達障害傾向 / 気になる子どものチェックリスト / 就学時健診 / 教育・家庭・医療の連携 / チーム学校 / 心理教育的援助サービス / 学校心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,縦断的調査研究の一環として、①就学時健診時の夜尿症の疫学調査、②入学後の夜尿症児への発達障害傾向チェックを行い、さらに③発達障害傾向児の援助案について各学級担任へフィードバックを行った。 A市・B市における就学時健診をもとに分析した結果、対象児の1,664名中12%に夜尿があり、夜尿児203名の内,発達障害傾向があった者は26%であった。夜尿症児の約3割に発達障害傾向が見られるとの諸外国の結果とも一致し夜尿症と発達障害傾向に一定程度の関連があることが示唆された。発達障害傾向の内訳は,「LD傾向」49%,「ADHD傾向」31%(うち,混合型58%、不注意傾向が31%、多動衝動性傾向は11%,「ASD傾向」11%)であった。さらに「LD傾向」は,「聴く」22%,「話す」22%,「読む」20.0%,「書く」15%,「計算する」13%、「推論する」8%であった(重複あり)。この結果をもとに各夜尿症児、および発達障害傾向の早期発見、早期援助への援助サービスを行った。具体的には、夜尿症児へは学級担任を通じて「おねしょの手引き」を各家庭へ配付し正しい知識のために心理教育を行った。発達障害傾向のある夜尿症児への対応については、子ども一人ずつの援助案について書面で学級担任へフィードバックを行い、学校生活QOLが向上に対する早期援助を行った。 今後は心理教育やフィードバックの効果について質的に評価するために当事者および、教師へのインタビュー調査を行う予定である。さらに、わが国でのチーム学校の一環として「教育・家庭・医療の連携システム構築」のモデルや連携に必要なツール作成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定していた調査対象市において事情があり夜尿のある小学1年生時の発達障害傾向の調査の実施、データ収集、および分析、フィードバック等が遅れた。そのため研究を延長せざるを得なかったが年度末にデータが回収できたため分析継続の見通しがついている。また、発達障害傾向のある子どもについて教師へ行ったフィードバックの効果を調査するために教員へのインタビューを夏期に行うことが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、教師へ行ったフィードバックに対するインタビュー調査を行える見通しとなったため効果の評価を行う予定である。さらにこれまでの研究結果についてまとめ発表の準備を行う予定である。なお、成果発表を予定していた複数の学会(海外も含め)が新型コロナウイルス関連の影響で開催ができないことが決定しているため、学会発表は次年度以降に行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を1年延期したことにより次年度使用額が生じた。年度末に回収できたデータの分析と、日程が合わずに行えなかったインタビュー調査を次年度に行う予定である。さらに、これまでの研究結果をまとめて成果を発表する予定である。
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Remarks |
「リタリコ発達ナビ」にて、おねしょと夜尿症について前編と後編にわけてわかりやすく解説した。前編は、おもにおねしょと夜尿症の違いについて解説し、後半は発達障害と夜尿の関係や関わり方などについて解説した。夜尿はこれまで子どもの根性や親のしつけの問題と誤解されていることが多いため、心理教育の一環として正しい知識について伝えた。
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