2019 Fiscal Year Research-status Report
医療保育の質を評価するシステムの構築-入院児とその家族のQOL向上に向けて
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17K04951
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
上出 香波 明星大学, 教育学部, 准教授 (80757427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 典子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (00620444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療保育 / 病棟保育 / 保育士 / 医療保育専門士 / 保育の質 / 入院児のQOL / チーム医療 / 自己評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度(2018年度)全国の医療機関の中から機縁法にて募集した小児病棟保育士22名のインタビュー調査結果の内容を分析した.病棟保育の質を考えるうえで,入院している子どもとその家族のQOL向上に対する支援は,小児病棟で働く保育士にとっても極めて重要な課題であると示唆されていた.しかしながら,小児病棟で働く保育士にとって,入院している子どもや家族におけるQOLの概念は明確化されていない.QOL向上のための支援を行うためには,病棟の保育におけるQOLの概念を明確化する必要性があると考えられた.インタビュー結果から病棟保育におけるQOL概念として,8つのクラスター「病院職員と子どもと家族とのコミュニケーション」「子どもの主体性を尊重する」「子どもと家族の率直な思いを伝える存在」「早期の信頼関係構築」「子どもの笑顔」「入院生活の中で楽しみがもてる」「子どもの遊びの時間と安心領域の担保」「成長・発達支援」が抽出された.結果から,病棟保育士は,治療をおこなう医療者の中にあって,医療行為を行わない立場にある.そのため,子どもを主体として,心理面や家族支援,子どもの楽しみや遊びのための環境整備という保育者ならではの視点が,QOLの概念に反映されていると示された.病棟保育の質の向上にむけて,2017年の量的研究と2018年度の質的研究を統合して,病棟保育の視点の内容を基に,医療における保育に特化した保育士の自己評価表を作成した.2017年同様に全国の医療機関の小児病棟保育士宛てに作成した自己評価表を掲載したアンケートを発送,回収をおこなった. 来年度は,アンケート結果の分析を行い,ブラッシュアップした内容で病棟保育の自己評価表を完成させ,保育士の質の向上に繋げるようオープンにしていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に基づき,2018年度に実施した全てのインタビュー内容の文字化し,テキストマイニングにて分析した.インタビュー調査の質的研究と2017年度のアンケートの量的研究の結果を統合した.統合した解析結果,分析を基に,病棟保育の質に関する自己評価表を作成した.統合の分析に時間を要したことから,自己評価表の内容を記載した全国の病棟保育士にアンケート発送が予定より遅れたことにより,2019年度内の結果集計及び解析・分析までに及ばず研究に遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,2019年度に実施した全国の病棟保育士のアンケート集計結果を2017年のアンケート結果と比較し,病棟保育士の現状について解析及び分析をおこなう.また,2019年度のアンケート調査内容記載した2018年度までおこなった質的研究と量的研究を統合した解析結果,分析を基に,病棟保育の質に関する自己評価表の妥当性の検証をおこなう.検証結果から評価表の改良をおこない,入院児とその家族のQOLの向上に繋がる医療保育の質を担保するための評価表を構築する予定である.
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Causes of Carryover |
調査の遅れにより,2019年度末まで全国の医療機関へのアンケート調査を実施していた.そのため,結果の集計及び解析・分析が残っていることから,データ入力や解析に必要とされていた予定金額に差額は生じている.2019年度データ整理及び解析,必要時の追調査をおこなうために使用予定であった予算額を2020年度に繰り越し,使用する計画としている.
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