2020 Fiscal Year Research-status Report
通常学級担任教師と他者との連携に関する研究:特別支援教育連携尺度の開発
Project/Area Number |
17K04956
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
竹村 洋子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (10586415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 通常の学級 / 特別支援教育における連携 / 担任教師による評価 / 学級での対応 / 校内連携 / 保護者との連携 / 外部機関との連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常の学級において児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的対応を担任教師が実施するための効果的な連携について指針を得ることを目的としている。 令和2年度は小・中学校の通常の学級を担任する教師を対象として質問紙調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大による学校現場への影響や負担を考慮して実施を見送ることとした。質問紙調査データの量的分析に替え、これまでに行ったインタビュー調査データの分析や成果発表を通じて得た知見などを踏まえて、収集済みデータの質的分析を中心に進めた。具体的には、1.前年度までに分析を行った通常の学級の担任教師による語りについての、分析手法を変えた追加分析、2.通常の学級における教師-児童間相互作用と教師と他者との連携についての事例的検討、3.通常の学級の担任以外の教師による語りの分析を進めた。1.を進める中で、地域や学校の支援体制など連携に影響を及ぼす要因についても検討する必要性が生じ、2.と3.に着手した。2.の成果の一部は学術論文として公開済みで、外部専門家として関与した教育相談事例について、学級での対応、校内連携、保護者との連携によって状況が改善したが担任教師自身が十分に対応できると感じるには至っていないことが示され、通常の学級において担任教師が児童とのかかわりで個別に対応することの可能性と限界、校内や外部機関との連携における課題について考察した。 最終年度についても、1.~3.について継続して分析を行い、研究成果の公開を進めていく計画である。当初計画においてインタビュー調査は質問紙調査の項目案作成を主な目的としていたが、質的分析を継続して多角的に結果の分析を行う。インタビュー調査では、想定以上の豊かな語りが得られていることから、特別支援教育連携尺度の作成に替えて収集済みデータの質的分析を深め、本研究の目的の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査データの分析と質問紙調査の準備を進める中で、当初の研究計画で設定していた質問紙調査の内容に検討課題が生じ、新たな資料・文献やインタビュー調査において収集済・分析済のデータについて再分析や考察を進め、質問紙の内容などについて再検討を行っていた。しかし、コロナ禍の影響による学校現場の負担を鑑みて、教師を対象とした質問紙調査の実施を断念した。 研究計画の再検討を行って、インタビュー調査など収集済みデータの多角的分析により研究目的の達成を目指すこととし、それらの分析が終了していないこと、研究期間が延長となったことから、研究の進捗状況としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、通常の学級において児童生徒一人一人のニーズに応じた教育的対応を担任教師が実施するための効果的な連携について指針を得ることを目的としている。当初計画では質問紙調査データの量的分析とインタビュー調査データの質的分析により目的に迫ることとしていたが、質問紙調査の実施は困難であると判断し、インタビュー調査を中心とした収集済みデータの質的分析を深めることで、目的の達成を目指す。 近年、質的分析について様々な手法やソフトが開発されており、それらについても情報収集、検討を進めている。それらの検討を踏まえて、令和2年度中に行った分析を継続して通常の学級における担任教師の対応と他者との連携について多角的に分析し、考察する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により実施予定であった質問紙調査を中止したことで次年度使用額が生じた。収集済みデータを分析するためのソフト等を購入する計画としている。
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Research Products
(1 results)