2018 Fiscal Year Research-status Report
粒子間摩擦力の制御による対称性に優れた正四面体型荷電コロイド粒子会合体の構築
Project/Area Number |
17K04990
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山中 淳平 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80220424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥薗 透 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (10314725)
豊玉 彰子 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (50453072)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | コロイド / 会合体 / クラスター / 微粒子 / 荷電粒子 / 静電相互作用 / 構造形成 / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い、下記(1)ー(3)項を検討した。 (1)粒子表面の高分子修飾による摩擦力の制御:29年度に引き続き、粒径500nmのシリカ粒子を用い、ポリアクリルアミド/ポリアクリル酸共重合を表面に導入した。より高電荷の粒子として、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを導入した粒子も作製した。また、正電荷粒子について、昨年度はシランカップリング剤を用いて、表面に正荷電のアミノ基を導入したが、電荷数が経時的に減少したため、30年度はシランカップリング剤を用いて、カチオン性の高分子電解質を導入して用いた。 (2)対称性に優れた正四面体型会合体の作成と分級:29年度は正負粒子の4面体型のクラスターが生成する条件を検討したが、結合角度の対称性については、十分検討できなかった。30年度は、共焦点顕微鏡による3次元観察から結合角を評価し、ボンド配向パラメーターを用いた評価を行った。現在、ブラウン動力学を用いた計算機シミュレーションと比較している。また、得られたクラスターの電場による分級を検討し、会合数分布を狭くすることができた。なお、本年度も、オーストラリア中性子科学技術機構(ANSTO)との共同研究として、中性子散乱実験によるクラスターの構造解析を実施した。 (3) クラスラーの会合によるダイヤモンド構造の作成: ダイヤモンド格子の作成実験を開始した。これまでに2核会合体の生成を確認した。 なお、申請時に、本研究は国際宇宙ステーションにおける微小重力実験へ展開する予定であることを記載した。31年10月に米国スペースX社のドラゴンロケットにより打ち上げられ、国際宇宙ステーションにおいて実験を実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定のうち、JAXA宇宙実験プロジェクトへの展開などの成果が得られた。また、計画に沿った検討を行い、クラスター実験に用いる粒子合成と粒子の表面修飾の手法を検討できた。計算機シミュレーションにより、無塩系では電荷比が1:3 のときに四面体型クラスターの収率が最大になり、電荷が大きいほど四面体型クラスターの構造が正四面体に近いこと、塩濃度が増加すると会合数も増加することなどが明らかになった。以上は計画された研究内容に基づく検討で、順調な成果が得られている。一方で、ダイヤモンド結晶の作成検討など、今後注力すべき課題もあり、標記の評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、クラスターの生成と結合角制御について、多くの知見を集積でき、多数の学会発表を行った。令和元年度は、不足のデータを補充して論文発表を行うとともに、ダイヤモンド格子構造の作成を継続して注力する。構造全体をゲルで固定し、共焦点顕微鏡などで観察する。昨年度も想定していた一方向成長による大型構造の形成を検討する。 これまで、得られた正四面体を組み合わせることでダイヤモンド構造を作製する計画であったが、正および負に帯電した、10nm程度の金属ナノ粒子系において、ダイヤモンド構造がワンステップを作製した研究例があり、参照しながらこちらの手法も併せて検討したい。当該手法では、クラスター生成が連続して起きていることになる。 また、従来想定していた、正四面体の結合による方法も継続して検討する。完全なダイヤモンド構造でなくとも、乱れた構造(アモルファスダイヤモンド)がフォトニックバンドギャップを形成するという報告もあり、顕微分光法などで光学特性も測定しながら検討する。
|
Causes of Carryover |
研究費残額(七百七十七円)では本年度の研究遂行に有効な物品、消耗品が購入できないと判断されたため、次年度に充当することとした。
|
Research Products
(12 results)