2017 Fiscal Year Research-status Report
Single molecule observation and theoretical study of higher order structural change of DNA accompanied by DNA quadruplex formation
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17K05013
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
谷川 雅人 大分大学, 医学部, 教授 (90332890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 貴史 大分大学, 医学部, 助教 (60416419)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | G-quadruplex / molecular dynamics / circular dichroism / molecular simulation / DNA / Tirf microscopy / autocorrelations in DNA / Rouse‐Zimm model |
Outline of Annual Research Achievements |
208kbpおよび93kbpのBAC DNAを用いて環状および線状のDNAが時間とともにどのような挙動を示すのかを、全反射照明蛍光顕微鏡を用いて一分子観察を行うとともにシミュレーション実験を行なった。一分子観察ではコントラストを高めることによりある程度詳細な構造変化を調べることができるようになったが、光学顕微鏡の分解能の限界のためDNA鎖の詳細なからまり合いなどは観察することはできないが、この挙動をシミュレーションすることによりDNA鎖の微細な挙動を調べることが可能となる。ただし、現段階では、まだ完全にはDNA分子の挙動を再現することができていない。 また、一分子測定において環状および線状のDNAの自己相関関数が分子量や粘性によってどのように変化するかを調べた。この結果を従来の高分子物理の理論(Rouse model, Zimm model)では説明できないことを示唆する結果を得た。これについてはデータの制度を含めて再検討を行なっているが、上記のシミュレーションを含めて慎重に解析を進めている。 G-quadruplexを形成するtel22配列(AGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG)を用いて、様々の条件下における四重鎖形成過程を円偏光二色性スペクトル測定およびストップトフロー測定により詳細に調べた。特に、これまで詳しく調べられてきたTMPyP4だけではなく、anti-cancer drugをはじめ様々の分子との相互作用を調べた。これらの結果からどのような分子がG-quadruplexと相互作用し、また相互作用する分子についても各分子の活性化エネルギーや複合体形成時のG-quadruplexの安定性の変化などを明らかにした。これらの複合体について分子動力学の計算を行い、得られた結果を実験結果と比較し詳細に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載した平成29年度に予定していた研究は以下の通りでそれぞれの進捗も併せて記載する。 Ⅰ.円偏光二色性スペクトル(CD)の経時変化からDNAの構造を明らかにする。-1「G-quadruplexの形成過程をCDのストップトフローによって明らかにする。」については予定していた実験について予定通り行うことができ研究は予定通り進んでいる。 -2 「小分子との相互作用によるG-quadruplex安定変化をCDのストップフローによって明らかにする。」は平成30年度研究予定課題であるが、この一部を平成29年度から開始することができた。 Ⅱ.全反射照明蛍光顕微鏡(TIRF)によるDNA一分子観察によってDNAの構造変化を明らかにする。 ー1「線状、環状およびスーパーヘリックスのBAC DNAについてTIRFで1分子観察を行い、自己相関関数を調べ、緩和時間を明らかにする。」については予定していた実験について予定通り行うことができ研究は予定通り進んでいる。-2「長さの異なるBACを用いて、長さによる緩和時間への影響を明らかにする。」についても予定していた実験について予定通り行うことができ研究は予定通り進んでいる。(平成30年度も当初の計画通り研究を継続する。) Ⅲ.分子動力学(MD)によるG-quadriplex形成過程および小分子との相互作用を明らかにするとともに、長いDNAの形状変化を、モデルを作成し計算によって再現する。-1「G-quaruplexの形成過程のMD計算によるシミュレーション」についても予定通り開始することができた。-2「1分子観察を行う長鎖DNAきモデルを用いたシミュレーション計算を行ない自己相関関数を求める。」についても予定通り開始することができた。(平成30年度も当初の計画通り研究を継続する。)
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究結果をもとに当初から予定していた Ⅰ.円偏光二色性スペクトル(CD)の経時変化からDNAの構造を明らかにする。-2 「小分子との相互作用によるG-quadruplex安定変化をCDのストップフローによって明らかにする。」、Ⅱ.全反射照明蛍光顕微鏡(TIRF)によるDNA一分子観察によってDNAの構造変化を明らかにする。-2「長さの異なるBACを用いて、長さによる緩和時間への影響を明らかにする。」、-3「G-quadruplexを含む208kbpのDNAについて、TIRFで1分氏観察を行い、自己相関関数を調べ、緩和時間がG-quadruplexを含まない時と比較する」、Ⅲ.分子動力学(MD)によるG-quadriplex形成過程および小分子との相互作用を明らかにするとともに、長いDNAの形状変化を、モデルを作成し計算によって再現する。-2「1分子観察を行う長鎖DNAきモデルを用いたシミュレーション計算を行ない自己相関関数を求める。」-3「G-quadriple構造を含む長鎖DNAのモデルの検討を行い、このモデルを用いたシミュレーション計算を行う」を行う。 また、当初の研究に加えて長さの異なるBAC DNAを用いて、溶媒の粘性によって変化する緩和時間が従来の高分子物理の理論(Rouse model, Zimm model)で再現できるか詳細に調べる。DNA鎖を表す妥当な高分子モデルを検討するため、並列計算可能なワークステーションを導入し、MD計算だけでなく、高分子の様々なモデルについても計算シミュレーション実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画では平成29年度に購入を予定していたワークステーションの導入を平成30年度に変更したため。変更の理由は、当初はGPUを搭載したワークステーションを導入予定であったが、我々が開発した計算方法ではGPUよりCPUを並列化した方が高速になる可能性が出てきたことと、さらに費用対効果の高いワークステーションを導入するためには、平成30年度に設置した方が良いと考えたため。平成29年度の計算は計画書にも記載のNVIDIAのTesla C2070の搭載したワークステーションを用いて行なった。分子動力学(MD)計算はこちらのワークステーションの方が高速にできる場合も多いため、平成29年度研究計画には支障を生じなかった。
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