2017 Fiscal Year Research-status Report
大電流高周波イオン源より引き出された負水素イオンビーム揺らぎの観測
Project/Area Number |
17K05108
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
神藤 勝啓 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (80322999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 元 同志社大学, 理工学部, 教授 (30201263)
柴田 崇統 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 特別助教 (20773956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 負水素イオン / 高周波負水素イオン源 / イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のJ-PARC、米国オークリッジ研究所のSNS、欧州原子核研究機構(CERN)のLHCなどの世界の大強度陽子加速器施設では線形加速器からシンクロトロンへの入射ビームとして負水素イオンビームが用いられている。この負水素イオンビームを生成には、近年高周波放電によりプラズマを生成し、プラズマ中の負水素イオンをビームとして引き出す高周波負水素イオン源が主流となっている。プラズマ生成には、2 MHzの高周波源が用いられているが、イオン源内のイオン密度が高くビーム引き出し領域近傍のイオンシースが高周波に追随し電位揺動のため、引き出された負水素イオンビームは揺らぎを持つと考えられる。本研究は、高周波大強度負水素イオン源より引き出された負水素イオンビームのエミッタンスの揺らぎを観測し、この揺らぎがプラズマ生成に用いている高周波に起因していることを突き止めることが目的である。 平成29年度は、J-PARCの高周波負水素イオン源より引き出された大電流負水素イオンビームについて、ビーム電流量に約2 %の揺らぎがあり、それがイオン源内プラズマを生成するために駆動している高周波源の周波数と一致していることが分かった。この観測の成果をスイス・ジュネーブで開催されたイオン源の国際会議(ICIS2017)や日本加速器学会や日本物理学会などの国内学会で報告した。 次年度以降にイオン源より引き出された負水素イオンビームのエミッタンス揺らぎの有無について調査を行う予定で、高時間分解能を有したエミッタンスモニターの設計及び測定方法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高時間分解能且つ微弱電流のビーム信号を検出できるエミッタンスモニターの設計に手間取ったため、予定していた平成29年度中に設計を終えることができなかった。しかしながらエミッタンスの計測について、現在用いているモニターに時間応答性の良い増幅器を用いることで、微弱電流のビーム信号をモニターできることが確認でき、高速のオシロスコープやデジタイザーを用いることで計測可能であることが、実験により確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、J-PARCの高周波負水素イオン源のテストスタンドを用いて位相空間上の1点でのビーム電流の揺らぎを観測した。今後、計測系を改良して、テストスタンドで負水素イオンビーム粒子が含まれる位相空間上での時間変化を観測する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、高時間分解能且つ微弱電流のビーム信号を検出できるエミッタンスモニターの設計に手間取ってしまったため、次年度使用額が生じることとなった。エミッタンスの測定は現在使用しているモニターに時間応答性の良い増幅器を接続することで、本研究で必要とする測定が可能であることが分かってきた。 次年度にエミッタンス計測のために必要な測定器の購入と、国内学会や国際会議での発表のための旅費及び参加費として用いる予定である。
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