2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K05177
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
服部 新 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (10451436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Drinfeld保型形式 / 合同 / 傾斜 |
Outline of Annual Research Achievements |
レベルt,t進傾斜一定のDrinfeld尖点形式のなす空間の次元が,重さに関してp進局所定値であることを示した.これは楕円保型形式の場合のGouvea-Mazur予想の,Drinfeld保型形式における類似とみなせる.もともとのGouvea-Mazur予想は楕円保型形式のp進解析的族の存在を示唆するもので,実際にその後p進解析的族が発見され,代数体の整数論における様々なブレイクスルーの原動力となった.一方,有限体上の既約多項式Pに対する,Drinfeld保型形式のP進解析的族はまだ発見されていない.本成果は(P進解析的族の存在は期待できないにしても)Drinfeld保型形式の理論の背後に何らかのP進的な統一性が潜んでいることを予感させるものである. また,この定理をt進からP進の場合に拡張し,それを応用して,Drinfeld尖点固有形式のP進連続的族を構成した.上で述べたように,Drinfeld保型形式においてはP進解析的族の構成には困難が多く,存在を期待もできないように思える.本成果で構成したP進連続的族はその代替物となりうるものであり,楕円保型形式のp進解析的族が保型形式の間のp進的合同を体系的に生み出すのと同様に,この族もDrinfeld固有形式のP進的合同を生む.それにより,素性がよく分かっていないDrinfeld保型形式でも,A展開を持つものなど,よく分かっているDrinfeld保型形式との合同を通して調べることが可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,過収束Drinfeld保型形式を利用してDrinfeld固有形式の解析的族を構成する研究を,3年間かけて行うことになっていた.ところが,過収束Drinfeld保型形式の基礎的な性質を調べる研究が本年度の早期に完成し,その過程で,過収束Drinfeld保型形式によるよりも,調和コサイクルを用いる方がより強い結果が得られることが分かった.本年度の主要な業績として挙げた,Gouvea-Mazur予想の類似と連続的族の構成は,どちらも調和コサイクルを用いた手法による.調和コサイクルという新しい研究手法を導入したことで,過収束Drinfeld保型形式を用いて行うはずだった研究を短期間で遂行できた.
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Strategy for Future Research Activity |
族の構成に関する研究はおおむね完成したので,族を応用して,傾斜の周期性予想や,新形式の理論など,Drinfeld保型形式の深い性質を調べる研究を本年度は行う.そのフィードバックによって,族の理論をより精密化する.また,代数体上の保型形式のp進解析的族(固有値多様体)との関連について調べる.さらに,当初計画していたように,Hodge-Tate-田口写像のDrinfeld保型形式への応用を追究する.
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Causes of Carryover |
出張時に使う論文執筆用のパソコンの購入費として確保しておいたものである.繰り越し分を使って本年度中に購入する計画である.
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