2019 Fiscal Year Research-status Report
代数曲線及びアーベル多様体のモジュライ空間の数論幾何とその応用
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17K05179
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
市川 尚志 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20201923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄田 敏宏 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10432957)
中村 健太郎 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (90595993)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 代数曲線 / アーベル多様体 / モジュライ空間 / 周期積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマン面、すなわち複素数体上の(代数)曲線に関する周期積分の理論は、複素多様体の変形やホッジ構造の変動などのテーマと結びついて発展し、基本群の巾単完備化に関する周期写像についても同様の理論が研究されている。さらに近年において、p進曲線に関する類似の理論が発展し、p進L関数などについての数論的研究に応用されているが、これら両者の周期理論についての明確な関係は与えられていなかった。また種数が1の場合の周期積分の変動は、超幾何微分方程式として明示的に表されているが、種数が1より大きい場合にこのような一般的な表示は知られていない。研究代表者は以前、高種数テイト曲線及びその正則微分形式と周期積分の普遍表示とその応用を与えたが、ベッチコホモロジー群とド・ラームコホモロジー群の間の周期同型写像の記述に必要な、有理型微分形式の表示は得られていなかった。 研究代表者は最近、arXiv に投稿したプレプリント: Periods of generalized Tate curves, Takashi Ichikawa, arXiv: 1909.10149 において、高種数テイト曲線の有理型微分形式の普遍表示を構成し、今まで得られていた正則微分形式の普遍表示と合わせて考えることにより、高種数テイト曲線のベッチコホモロジー群とド・ラームコホモロジー群の間の同型を与える周期写像の普遍表示を得た。この普遍表示は、パラメーターをp進数に特殊化するとコールマン積分を導くため、数論への応用が期待できるものになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高種数テイト曲線の数論幾何的研究において、当初予想していたよりも研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
高種数テイト曲線のコホモロジー群における周期写像の普遍表示を巾単基本群に対して拡張し、代数曲線のモジュライ空間におけるモチーフ層の理論への貢献を行いたい。
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Causes of Carryover |
2019年度は、独立行政法人より佐賀大学を通して委嘱された委員の職務にも従事した。その職務は、それぞれが数日間に渡る11回の出張とその準備を行うものであったため、本研究を十分に遂行するための時間や、出張の日程を確保することが難しかった。 今後は研究集会への参加や援助及び研究打合せを、より積極的に行うことを計画している。
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Research Products
(2 results)