2019 Fiscal Year Research-status Report
代数多様体上の曲線の変形障害とヒルベルトスキームの研究
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17K05210
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| Research Institution | Tokai University |
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Principal Investigator |
那須 弘和 東海大学, 理学部, 准教授 (30535331)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | ヒルベルトスキーム / 変形障害 / 非被約成分 / エンリケス多様体 / エンリケス曲面 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月から同9月まで所属先の東海大学において特別研究期間（サバティカル）が認められ、同期間においてオスロ大学数学科に滞在し研究課題に関する研究を行った。滞在期間中の主な成果は以下の通りである：
1. エンリケス・ファノ三様体（EF3）上の曲線の変形障害に関する研究を行い、エンリケス曲面上の(-2)曲線やハーフペンシルを用いて、曲線が変形障害を受けるための十分条件を与えた。前年度までに得られたヒルベルトスキームに関する研究を進展させ、新たに種数6のEF3に対してもヒルベルトスキームの非被約成分の例を構成した。
2. 空間曲線のヒルベルトスキームに関するKleppe-Ellia予想の証明に取り組み、曲線が2次的正規な場合の証明を完成させた。さらに非特異3次曲面に含まれる空間曲線に対し、曲面上の直線を用いて、変形障害を受けるための十分条件を与えた。
上記の研究成果を2つの論文「Obstructions to deforming curves on an Enriques-Fano 3-fold」と「Obstructions to deforming space curves lying on a smooth cubic surface」（arXiv:1906.10390およびarXiv:1909.08452）にまとめプレプリントとして公表した。
特別研究期間中はJ.O.Kleppe教授（OsloMet）やJ.C.Ottem教授（UiO）と集中的に議論を行い研究を進めた。また2019年7月にはデュッセルドルフで開催された研究集会「Del Pezzo surfaces and Fano varieties」に参加し、デルペッツォ曲面とファノ多様体に関する最新の研究成果に触れた。また2019年10月開催の城崎代数幾何学シンポジウムに参加し、上記の研究成果について講演を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究期間（サバティカル）を取得し集中的に研究を進めることができた。ノルウェーへの渡航前に計画した２本の論文についても、計画通り完成させることができた。
一方、最終年度の2020年3月には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により講演を予定していた研究集会「Commutative Algebra and Projective Algebraic Geometry in Kumamoto」が開催中止となった。そのため次年度開催分の研究集会に参加し、本科研費研究課題に関する成果報告を行う予定である。補助事業期間の延長申請が認められたので成果報告に努め、さらなる研究の進展が得られるように努力したい。
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| Strategy for Future Research Activity |
エンリケス・ファノ三様体上の曲線の変形障害に関する研究を行う中で、ヒルベルトスキームの研究に関する新たな視点を得た。それは「代数多様体の射」の視点である．代数多様体XにヒルベルトスキームHilb Xを対応させる写像X →Hilb Xは関手的でない．そのため代数多様体の射π: X →Yはヒルベルトスキームの射Hilb X →Hilb Yを誘導しない．しかしHilb XとHilb Yの間には何らかの関係が存在することが期待される。今後の研究において、この問題にも取り組みたいと考えている。
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| Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大の影響により、参加を予定していた研究集会の開催が中止になった。中止になった研究集会
の次年度開催分に参加し、本科研費研究課題の成果報告をする必要があるため補助事業期間の延長申請を行った。
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