2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on random partitions and random matrices based on combinatorics and representation theory
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17K05281
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松本 詔 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60547553)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 確率論 / 表現論 / 組合せ論 / 既約指標 / 対称群 / 射影表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ランダム行列とランダム分割、およびそれらに関連した問題に対し、組合せ論および表現論の視点に基づいた研究を行うことを目的としている。本年度の主な研究結果は、Kerov多項式の射影版を定式化したことである。対称群の既約指標は、ヤング図形の推移測度の自由キュムラントを変数とする多項式として表示することができる。このときに現れる多項式が、Kerov多項式である。Kerov多項式は、ランダム分割の漸近挙動を研究する際に中心的な役割を果たしている。今年度の研究において、それの射影表現(スピン表現)への対応物を発見することができた。これを「スピンKerov多項式」と命名した。さらに低次のスピンKerov多項式の具体例を与えた。 Kerov多項式は当初、その係数が非負整数であることが予想され、2009年にFerayにより証明された。さらにこれらの非負整数係数が、ある組合せ論的対象の数え上げになっていることが知られている。今回新たに得たスピンKerov多項式も係数が非負整数であることが具体例から予想される。Kerov多項式のときと同様に、ある種の組合せ論的対象の数え上げになっていることが大いに期待される。これらは今後の研究課題である。 以上の研究結果は、まさに「研究実施計画」で述べた計画に完全に沿っている。「自由キュムラント」を射影版の際にどう考えればよいかがこの問題の難しい点であったが、いくつかの挑戦の結果、今回の結果に繋がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画通りの研究ができた。さらに30年度に研究予定の内容も一部進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を一部前倒しするが、計画に沿って研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
所属機関における業務多忙のため、出張予定がいくつかキャンセルされた。次年度以降に可能な限り出張等で使用する。
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