2022 Fiscal Year Research-status Report
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17K05308
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
林本 厚志 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 教授 (90342493)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Gap定理 / 固有正則写像 / 複素擬楕円体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の以前の論文で次の定理が示された。「次元の異なる複素擬楕円体の間に固有正則写像が存在し、それは境界を越えて正則的に定義域を拡張できると仮定する。次元及び複素擬楕円体の定義関数に現れるブロックの個数にある制限を付ける。このとき任意の固有正則写像は、定義域と値域の自己同型群の差を省いて分類することができる。」この定理は、球の間の固有正則写像に関するGap定理を複素擬楕円体に拡張したものであった。この定理で「固有正則写像を正則写像として、境界を越えて手擬息を拡張できる」という仮定を省くことができるか否かを調べることが目標であった。そのためには球の場合に、そのようなことができるかを調べ、その内容を詳細に検討する必要がある。それを行うことが本年度の計画であった。GlobevnikやForstnericの論文にその内容が出ているため、それを詳細に検討した。その結果、いくつかの内容について球の場合を複素擬楕円体に拡張できるのではないか、という予想を立てることができた。具体的には調和関数に関するディリクレ問題を使うことにより、連続写像として定義域を拡張できるが、微分可能な写像としては定義気を拡張できない例があるのではないか、という予想である。まず、ある条件を満たす写像からスタートする。それに対してある種のピーク関数を少しずつ写像の各成分に加えて、その極限を取ることにより可微分写像として拡張できない例を作るのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の予定としては、「次元の異なる球の間の固有正則写像で、K回連続微分可能であるが、K+1回連続微分可能ではない例について深く調べる。」ということであった。GlobevnikやForstnericの論文でそのようなものが扱われていて、それを詳細に検討することができ、いくつか研究すべき内容を見つけることができた。これは当初予定していた内容の先にある研究内容であり、研究期間の5年間を越えて延長して助成されていることを考えると、当然の進捗状況ではある。
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Strategy for Future Research Activity |
以前に得られている、前述の定理に関して、「正則写像として境界を越えて定義域を拡張できる」という仮定を省きたい。今のところ、そのような仮定を省くことはできない、つまり「そのような固有正則写像で、境界を越えて正則的に拡張できない例が存在する」というのが予想である。それを実際に構成することが今後の計画である。この内容は本研究と、2022年度からもらっている科研費の研究内容との橋渡しになるものである。
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Causes of Carryover |
第一の理由はコロナの状況により、研究集会が中止またはオンライン開催になったことである。しかし令和5年度はそのようなことがなくなる様子であるため、多くの研究費が必要となる。夏には毎年行われる国際研究集会である「Hayama symmposium」冬に行われる「多変数関数論冬セミナー」日本数学会の春と秋の学会、秋に行われる「函数論シンポジウム」に参加する予定である。また、毎週月曜日に東京大学大学院数理学研究科で行われる「複素解析幾何学セミナー」に不定期に参加する予定である。これらの旅費として多くを使用する予定である。
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