2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05330
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柴田 徹太郎 広島大学, 工学研究科, 教授 (90216010)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / 固有値問題 / 分岐問題 / 逆問題 / 変分法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は分岐曲線が振動する非線形固有値問題の漸近解析に取り組んだ。振動する非線形項など、特徴的な非線形項を含む常微分方程式の分岐曲線の漸近挙動の解析について以下のように研究を進めた。非線形常微分方程式の分岐問題に関しては、Time map法が非常に有効なことは判明していたのだが、この手法に加えて、特殊関数の漸近公式と変数変換を援用することにより、分岐曲線の詳細な振動状況がわかる漸近公式を確立することができた。さらに、特徴的な非線形項を含む方程式の統一的な漸近解析に取り組んだ。具体的には、非線形項が三角関数とべき関数との積で表示できる方程式の分岐曲線の詳細な漸近挙動の公式の確立を目指して研究を進め、一定の成果を挙げることができた。生物学的背景をもつロジスティックタイプの方程式においては、解のノルムは生物の個体数を表しているので、自然科学的に非常に重要な情報を与えることが知られている。本年度は拡散係数が非線形項をふくむ方程式が、生物個体の分散を記述しているという重要性に着目し研究を進めた結果、これまでのわれわれの解析法がこの方程式の解析に有効であることが判明した。この発見により、本研究課題には新しい進展が望める状況となった。逆分岐問題に関しては、振動する分岐曲線とそうでない分岐曲線の漸近的長さを比較測定することにより、未知の非線形項を判別するというアイデアを提唱していたが、これまでに考察していなかった非線形項に関する逆分岐問題においても有効であること、さらにこのアプローチが未知の非線形項の特徴づけに効果的であることを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関して、想定していたより多くの進展があった。当初計画していた課題に関するタイムマップによるアプローチを工夫することにより、さまざまな非線形項をもつ分岐曲線の漸近解析に有効であることが判明したことで、今後の研究の進展が期待できることが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究分野や関連分野の専門家との研究連絡や情報収集を通して研究を推進していく。具体的には、本年度遂行したタイムマップと特殊関数の漸近公式の組み合わせによる漸近解析をさらに推し進める。まず、非線形項として周期関数を含むような非線形固有値問題に関して適用し、研究を遂行する。次に、いままで上記の方法では解析が困難であった非線形固有値問題に関して、停留値法を適切に用いることにより、研究の進展が期待できることが判明したので、この方向のアプローチも推進していく。
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Research Products
(8 results)