2022 Fiscal Year Annual Research Report
Generalization of flat structure and isomonodromic deformation
Project/Area Number |
17K05335
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
眞野 智行 琉球大学, 理学部, 教授 (60378594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 平坦構造 / 微分方程式 / モノドロミ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度より引き続き、平坦構造とそのプレポテンシャルを持たない場合への一般化、および線形微分方程式のモノドロミ保存変形との関係についての研究を進めた。今年度の研究内容およびその成果について述べる。 1)本研究課題の最も主要なテーマである平坦構造と線形微分方程式のモノドロミ保存変形との関係について、これまでの研究で得られた成果などをまとめた専門書を執筆し原稿を完成させ、12月に出版することができた。この書籍では、(拡張)大久保型方程式を基礎とした平坦構造の定式化とモノドロミ保存変形やパンルヴェ方程式への応用、well-generatedな複素鏡映群から標準的に導かれる平坦構造の構成とその応用について解説した。その執筆の過程で「3つ組(M,D,Δ)」と「3つ組(M,D,Δ)に対する大久保-斎藤ポテンシャルの空間」という2つの概念が抽出されてきた。これは理論の定式化において基礎となる重要な概念である。 2)階数3の大久保型方程式に対して、1)で得られた構成を適用すると、パンルヴェ方程式の解に対して3つ組(M,D,Δ)を定義することができ、これはパンルヴェ方程式の解の不変量を与える。前年度以前に構成したパンルヴェ方程式の超越解に対して3つ組(M,D,Δ)を具体的に構成することを試みた。これについてはまだ進展中であり、確定的な結果は得られていないが、パンルヴェ方程式の超越解の性質について興味深い視点が得られるように思われる。 3)q-差分方程式の大久保型標準形および平坦構造のq-類似を構成する研究を行った。出発点となるq-差分方程式の階数が2の場合には、平坦構造を構成することができたが、階数が3以上の場合にはいくつかの試みにも関わらず構成ができなかった。階数が2の場合と3以上の場合では本質的な違いがあるということが分かった。
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