2017 Fiscal Year Research-status Report
重力波源のX線対応天体の検出と位置決定を目指したMAXI-NICER連携の構築
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17K05402
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
芹野 素子 青山学院大学, 理工学部, 助教 (70415199)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波 / X線観測 / 速報 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際宇宙ステーションに搭載されている全天X線監視装置 MAXIを用いて重力波の観測を行った。2017年度は重力波観測装置の2度目の観測期間と重なっており、観測された重力波天体の到来方向を観測したMAXIのデータを調査し、対応天体の有無を調べた。 残念ながらいずれの重力波についてもX線の対応天体を発見することはできなかったが、 対応天体の明るさの上限を得ることができた。とくに多波長で対応天体が観測された重力波イベントGW170817については、他のX線望遠鏡が観測したより早い時間帯に観測をおこなうことができており、明るいX線天体が現れなかったことを明らかにすることができた。 また、2017年度にMAXIは4つの新天体を発見し、これらに関して速報を行った。本研究の最終目標である、軌道上での自動速報ではないが、地上で人を介して nicer に依頼し、追跡観測を実現することができた。このことは、本研究で必要となる、突発天体の発見と速報が地上では実現できていることを示している。このシステムを改良して機上でも運用できるようにすることが、本研究の目的である。 ソフトウエアの修正に関しては、いくつかあるソフトウエアの各々の機能を軌道上用にいかに簡略化するかについて、研究協力者と相談し、簡単なテストを行うことで、実現可能なことを明らかにした。また、実際軌道上に配置するコンピュータの準備については、2017年度に実装をお願いする業者の選定が済み、どのような変更を行うのかを明らかにして、すでに作業を進ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階では、2017年度にはソフトウエアの設計とインストール作業を予定していた。現時点でソフトウエアの設計は予定通り終了しており、現在はソフトウエアの作成を業者に進めてもらっている。作業は作成終了後のテストを含めて今後数ヶ月と予定 されており、今年度のうちにはすべて終了することができる。 軌道上へのインストールと運用開始は2018年度を予定していたので、打ち上げ時期が流動的ではあるが、概ね予定通りであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、8月頃までにソフトウエアの開発とテストを進めてもらう。開発中には専門的な知識も必要となるので、必要に応じて助言を行う予定である。国際宇宙ステーションへの装置の設置については、今後の交渉次第の部分もあり、現時点でははっきりしないが、これがうまくいかない場合にも、現状でできている、地上経由での速報と追跡観測を継続し、これをより迅速に行えるようにすることで、できるかぎりの成果を得たい。
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Causes of Carryover |
当初はNASA側との打ち合わせのため、海外出張の費用を計上していた。しかし、別の出張者が別の機会にNASAを訪れた時にMAXIとnicerの連携についても打ち合わせの機会をもつことができたり、逆にNASAから日本への出張者と打ち合わせの機会をもつことができたため出張は不要となった。今後も打ち合わせのための出張は必要ないと考えられるため、MAXIの地上速報とデータ整理用のデータベースの整備にあてる計画である。
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Research Products
(2 results)