2020 Fiscal Year Annual Research Report
Tensor network approach to elementary particle physics
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17K05411
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武田 真滋 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60577881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テンソルネットワーク / 実時間経路積分 / 符号問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に2つのテーマの研究を実施した。1つ目のテーマは、テンソルネットワーク法によって実時間経路積分を直接計算する手法の開発である。具体的なセットアップとして1+1次元実スカラー場理論を扱った。まず、空間方向の格子サイズが2の場合で厳密解との比較を行い、その計算結果の正当性を検証した。その結果、2点相関関数を十分な精度で再現しており、テンソルネットワーク表示が正しく構築されていることを確認した。これらの成果を第76回日本物理学会年次大会(3月)において発表した。この研究により実時間経路積分の直接評価の先鞭をつけることができた。今後は、格子サイズを拡張すること、及び、より複雑なモデルへの応用が見込まれる。 2つ目のテーマは、テンソルネットワーク法の計算コスト削減アルゴリズムの開発である。高次元系では、テンソルネットワーク法の計算コストが次元数に関して指数関数的に増大してしまうという問題があった。その問題に対する一つの打開策として、Triad TRGと呼ばれるアルゴリズムが近年開発されていた。これにより計算コストは確かに削減できるが、物理量の計算精度が不十分であるという問題が残されていた。このような状況のもと、本研究課題では、精度改善の方法として環境効果を取り込んだアルゴリズムを開発した。その結果、2次元系のベンチマークテストにおいて、精度が回復できることを数値的に実証した。さらに、要求精度に対する計算性能も測定し、従来法の結果よりも10倍程度効率が良いことがわかった。同法は高次元系へ拡張することが可能なため、今後は3,4次元系の応用が期待される。この結果は上記学会やその他の国際会議においても発表している。
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