2021 Fiscal Year Annual Research Report
Lepton Number of Cosmic Background Neutrinos and Generation Mechanism of Particle Number in the Universe
Project/Area Number |
17K05418
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
両角 卓也 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (20253049)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | マヨラナニュートリノ / レプトン数 / 宇宙背景ニュートリノ / ディラックニュートリノ / マヨラナ位相 / ニュートリノの絶対質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では一種類のマヨラナニュートリノのレプトン数の期待値の時間依存性をシュレディンガー形式を用いて導いた。期待値の表式は前年度までにハイゼンベルグ形式を導いた結果と一致した。レプトン数=1を持つ決まった運動量を持つ一粒子状態を初期状態にとり, マヨラナ質量を獲得した後の状態の時間発展を求めた。このために質量固有状態の消滅演算子で定義される真空とレプトン数の固有状態で定義される真空がボゴリューボフ変換で関係づけれることを示した。レプトン数の期待値はニュートリノの速度が光速に十分近い場合には,1の付近で短い周期で小さな振幅で振動する。一方光速より十分小さい場合は1から-1の間を振動する。非相対論的なニュートリノの候補としては, 自然界に宇宙背景ニュートリノが存在が予測されている。本研究の成果の意義は, 背景ニュートリノがマヨラナニュートリノの場合, その質量に比べて十分低い温度の下で,これらのニュートリノのレプトン数が振動しており, その符号が一定ではないことを意味する。その様相が観測で測れば、ニュートリノの絶対質量やマヨラナ位相などのニュートリノの性質が明らかになるだけではなく, 物質反物質非対称性の起源を明らかにするうえで役に立つ。レプトン数の時間変化の研究をニュートリノがディラック粒子である場合に拡張した。マヨラナニュートリノの場合と異なり初期レプトン数1の場合の任意の時間での期待値は正の値に留まることを示した。この結果はレプトン数の時間変化を使ってニュートリノがディラック粒子かマヨラナ粒子かを区別できることを意味する。さらにレプトン数の期待値の表式の違いはマヨラナ位相に依存する項であることを指摘し,レプトン数の期待値の時間変化からニュートリノの絶対質量やマヨラナ位相を決める方法を研究した。ニュートリノが小さなディラック質量をもつ模型の研究も行った。
|