2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the Cosmological Roles of Extragalactic Active Objects
Project/Area Number |
17K05460
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 進 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 研究員 (80413954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高エネルギー宇宙物理学 / 宇宙論 / ガンマ線 / ニュートリノ / 活動銀河核 / ガンマ線バースト / 高速電波バースト / 中性子星連星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、活動銀河核 (AGN)・ガンマ線バースト (GRB)・高速電波バースト (FRB) などの銀河系外活動天体の宇宙論的役割について、多角的な理論・観測研究を推進することである。主な研究成果は以下の通りである。 1. AGNウィンドと母銀河ガスの相互作用に起因する高エネルギー粒子加速・非熱的放射について、従来より詳細なモデルを構築した。起源が未解明のガンマ線背景放射およびニュートリノ背景放射への寄与を調べた結果、場合によっては大きな寄与が可能であることがわかった。また、ニュートリノ源であることが示唆されているAGNのNGC 1068にモデルを適用し、電磁波観測と無矛盾に解釈できることを示した。 2. FRBの電波分散効果の観測を通じ、宇宙における水素・ヘリウム双方の再電離履歴を探れる可能性を検討し、将来的に、よくわかっていない低光度クエーサーの寄与と進化について、貴重な情報が得られることを示した。 3. 中性子星連星合体GW170817の重力波・電磁波による発見を受け、中性子星合体におけるr過程重元素合成の検証方法として、X線高分散分光観測の可能性を提唱した。 4. IceCube天文台によって検出された高エネルギーニュートリノIC-170922Aの対応天体として、明るいブレーザー天体TXS 0506+056が発見された (Science誌論文掲載)。この天体の多波長電磁波・ ニュートリノ観測の整合的な解釈として、ジェットの空間構造を考慮したモデル 、ガンマ線のハドロン起源放射が卓越するモデル、降着流起源の外部光子に基づくモデルなどを提唱した。 5. GRBからのTeV帯域ガンマ線が、GRB 190114Cで初めて発見されたが、多波長観測データと詳細な理論モデルを比較し、残光における逆コンプトン放射である可能性が高いことを突き止めた (Nature誌論文掲載)。
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Research Products
(29 results)